人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(37d)ブッカー・アーヴィン(ts)

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ブッカー・アーヴィンはサイドマン参加作も18枚と少なく、その半数がチャールス・ミンガス作品だからなおさら少ない。それだけに参加作はアーヴィンをフィーチャーしたものになった。今回はミンガス作品以外の参加作を見たい。

まず、ミンガス・バンドの同僚で、かつ「プレイハウス・フォー」というバンドを一緒に組んでいたホレス・パーラン(Horace Parlan,1931-・ピアノ)の「アップ・アンド・ダウン」Up And Down,61.6.18(画像1)。パーランはポリオで手が不自由という異色ピアニストで、ブルー・ノートとの契約でレギュラー・トリオのアルバムをリリースしており、第一作「アス・スリー」60.6はパーランのパワー爆発の大傑作だった。ベースのG・タッカー、ドラムスのA・ヘアウッドも素晴らしい。ライヴではアーヴィンが入りプレイハウス・フォーになるのだが、このアルバムではさらに単音しか弾かない異色ギタリスト、グラント・グリーンも入って真っ黒け。オリジナルはパーラン2曲、アーヴィンとグリーン各1曲、渋いジャズマン曲2曲とバランスもいい。アーヴィン曲は冒頭の'The Book's Beat'。適当な曲名!

その10日後録音の、ミンガス・バンドでパーランの前任だったマル・ウォルドロン(Mal Waldron,1926-2002・ピアノ)の「ザ・クェスト」The Quest,61.6.27(画像2)はミンガス・バンドの交替要員エリック・ドルフィー(アルト)と2管+チェロで、全7曲マルのオリジナル。注目はドルフィーブッカー・リトル(トランペット)との名作ライヴ「アット・ファイヴ・スポット」61.7で取り上げる'Fire Waltz''Status Seeking'のスタジオ初演だろう(ピアノはマル自身)。ドルフィー/リトル版には及ばないが、なにしろ名曲なので嬉しい。

ロイ・ヘインズ(Roy Haynes,1925-2007・ドラムス)の「クラックリン」Cracklin',63.4(画像3)も見落とされがちな快作。なにしろチャーリー・パーカークインテットマックス・ローチの後任を務め、フリー・ジャズ時代もフュージョン時代も活躍し、没年まで現役だった人。ワン・ホーンのこの作品では「パリの空の下」'Under Paris Skies'が聴き物だろう。