人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(37f)ブッカー・アーヴィン(ts)

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 今回はプレスティッジ後期のブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)。アーヴィンは「バッド・ニュース・ブルース」63.4から「ヘヴィー!!!」66.9までに10枚のリーダー作(うち2枚双頭リーダー)と2枚の参加作がある。3年間で12枚、年に4枚はレコード売上げだけでは厳しく、ツアー優先でもアメリカではすでに「ビートルズ上陸以後」になっていて、グリフィンやモブレーら同世代のテナー奏者、マルやパーランら親しいピアニストもみんなヨーロッパ移住してしまった。アメリカに残ったのは大物と新人ばかりで、中堅がごっそり消えてしまったのだ。

 「ブック」四部作完結編は「ザ・スペース・ブック」64.10(画像1)で、ジャケットはうさんくさいしピアノはジャッキー・バイヤードだが内容は四部作中いちばんまとも。A面'Number Two''I Can't Get Started'、B面'Mojo''There Is No Greater Love'の4曲収録で、1,3がアーヴィンのオリジナル、2,4がスタンダード。主役もさることながらリズム・セクションの一体感がすごい。マイルスやコルトレーンのバンドに匹敵する。やはりドラムスがすごい。アルバムの白眉はスタンダードの4だろう。
 66年発売の「グルーヴィン・ハイ」は四部作の拾遺集だが、CDではセッションごとに四枚に分散収録された。

 65年にはアーヴィンは渡欧しており、1年ぶりの録音はドイツで1日で2枚の力業になる。共演はバイヤード(ピアノ)、R・ワークマン(ベース)、A・ドウソン(ドラムス)。バイヤードはミンガスの、ドウソンはリー・コニッツ(アルト)とビル・エヴァンス(ピアノ)のツアーで渡欧してそのまま居着いていたのだ。
 まず1枚目はデクスター・ゴードンとのテナー・バトルで「セッティング・ザ・ペース」65.10(画像2)、A面'Setting The Pace'19分、B面'Dexter's Deck'23分。内容は?バトルです。
面白いのは2枚目のワン・ホーン作品「ザ・トランス」(画像3)の方だろう。A面'The Trance'19分半、B面'Speak Low'15分・'Groovin' at the Jamboree'6分半。これは来てます。そして次作「ヘヴィー!!!」は傑作だったが、契約更新はなかった。