「ブック」四部作完結編は「ザ・スペース・ブック」64.10(画像1)で、ジャケットはうさんくさいしピアノはジャッキー・バイヤードだが内容は四部作中いちばんまとも。A面'Number Two''I Can't Get Started'、B面'Mojo''There Is No Greater Love'の4曲収録で、1,3がアーヴィンのオリジナル、2,4がスタンダード。主役もさることながらリズム・セクションの一体感がすごい。マイルスやコルトレーンのバンドに匹敵する。やはりドラムスがすごい。アルバムの白眉はスタンダードの4だろう。
66年発売の「グルーヴィン・ハイ」は四部作の拾遺集だが、CDではセッションごとに四枚に分散収録された。
65年にはアーヴィンは渡欧しており、1年ぶりの録音はドイツで1日で2枚の力業になる。共演はバイヤード(ピアノ)、R・ワークマン(ベース)、A・ドウソン(ドラムス)。バイヤードはミンガスの、ドウソンはリー・コニッツ(アルト)とビル・エヴァンス(ピアノ)のツアーで渡欧してそのまま居着いていたのだ。
まず1枚目はデクスター・ゴードンとのテナー・バトルで「セッティング・ザ・ペース」65.10(画像2)、A面'Setting The Pace'19分、B面'Dexter's Deck'23分。内容は?バトルです。
面白いのは2枚目のワン・ホーン作品「ザ・トランス」(画像3)の方だろう。A面'The Trance'19分半、B面'Speak Low'15分・'Groovin' at the Jamboree'6分半。これは来てます。そして次作「ヘヴィー!!!」は傑作だったが、契約更新はなかった。