人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(39e)キャノンボール・アダレイ

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Julian Cannonball Adderley(1928-1975,alto sax)。ここからのキャノンボールは絶好調で、早すぎる逝去(肥満が原因の心臓病。「キャノンボール」とは大食漢という意味)まで足が地についた活動を続ける。

マイルス・セクステット退団後、キャノンボールはエマーシー時代同様弟のナット・アダレイ(コルネット)とバンドを再編する。兄はプレイヤーとして抜群、弟はプレイは標準だが作曲とアレンジに優れる、という格好のチームだった。
マイルスの「カインド・オブ・ブルー」59.3,4の後キャノンボールは「テイクス・ア・チャージ」59.4、フィリー・ジョー・ジョーンズ「ドラムス・アラウンド・ザ・ワールド」59.5と立て続けに録音があり、万を持して半年後に制作されたのが熱狂のライヴ「ザ・キャノンボール・アダレイクインテット・イン・サン・フランシスコ」59.10(画像1)だった。選曲はキャノンボールのベスト・ヒットで、ベースは古株サム・ジョーンズ、ピアノはジャズ・メッセンジャーズ出身ボビー・ティモンズ、ドラムスはホレス・シルヴァークインテット出身ルイス・ヘイズという完璧な布陣。この作品の大ヒットでキャノンボールはエマーシー時代以上の人気と元マイルス・セクステットにとどまらない決定的な名声を得た。1曲推薦するならランディ・ウェストンの'Hi-Fly'か。

次作「ゼム・ダーティ・ブルース」60.2,3(画像2)もライヴの熱気をうまくスタジオ録音でとらえた作品。弟ナットが1月に録音したアルバム「ワーク・ソング」Work Song(キャノンボール不参加)のタイトル曲はメッセンジャーズ『モーニン』Moanin'(ティモンズ作)と並ぶファンキー・ジャズのヒット曲だが、兄のバンドでもさっさとやってしまうあたりさすが実の兄弟は違う。

次作「キャノンボール・アダレイ・アンド・ザ・ポール・ウィナーズ」60.5,6(画像3)は企画物で、ジャズ雑誌の人気投票で各楽器の最優秀プレイヤーに選ばれたメンバーとのセッション作品。ベースがレイ・ブラウンとなればリズム・セクションは黙っていても決まる。キャノンボールのワン・ホーンとウェス・モンゴメリー(ギター)が主役だろう。キューブリックの映画テーマ曲'Lolita'を早くも演っている。