人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(40c)ジミー・ジュフリー(ts,cl)

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Jimmy Giuffre(1921-2008,tenor & baritone sax,clarinet)。
50年代後半からのジュフリーは、ジョン・ルイス(ピアノ、モダン・ジャズ・カルテット)と並んでジャズ界最大の頭脳と呼ばれた。ルイスは黒人の立場からジャズの白人的解釈を行い、しかも黒人ジャズから離れなかった人で、白人グループのデイヴ・ブルーベック・カルテットと対照的立場にある。どちらのカルテットも、白人ロックの雛型を作ったグループと言ってよい。

第1作はジム・ホール、ラルフ・ペーナ(ベース)とのトリオで、ペーナはキャピタル時代にも起用した優れたベーシストだったが、ジュフリーは最初からホール、ボブ・ブルックマイヤー(ヴァルヴ・トロンボーン)とのトリオを望んでいた。ペーナと、続くジム・アトラス(ベース)はピンチヒッターで、第2作はアトラスとのトリオで57年12月に録音したがブルックマイヤーの正式加入で58年1月に全曲再録音している(CDで両方聴ける)。トロンボーン、サックス、ギターがここで揃った。映画「真夏の夜のジャズ」58はこの編成による('The Train and the River'自体は第1作にベース・ヴァージョンで収録。だがこの曲はシンプルなリフ曲ながら3分半でバリトンクラリネット→テナーを持ち替える曲芸までやっている)。

今回はジム・ホールとのトリオの後半3作。アトランティックで1作、さらに大手ヴァーヴに移って2作がある。
'Western Suite'58.12(画像1)
'Seven Pieces'59.2(画像2)
'Easy Way'59.8(画像3)

ここまででジム・ホールは脱退しポール・デズモンド、ソニー・ロリンズアート・ファーマーの掛け持ちレギュラーになる。トリオのもうひとりのメンバーは1が前2作に続きブルックマイヤー、2がレッド・ミッチェル(ベース)、3がレイ・ブラウン(ベース)。
ずばり、1が最高傑作だろう(次点は前回の1)。収録曲はタイトル曲18分、スタンダードの'Topsy'11分半、モンクの'Blue Monk'8分半の3曲しかない。ジュフリーのでっち上げた「架空のカントリー・ジャズ」はここで極まった。後の2作は過渡期のアルバムだろう。次回で解説する。