人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(43d)デイヴ・ブルーベック(p)

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Dave Brubeck(1920-2012,p)。
大ヒット作「タイム・アウト!」に先立つ3作はブルーベック・カルテットのもっとも勝負をかけた時代だっただろう。アルバムごとに明確なコンセプトを持ち、訴求力と普遍性がある。
さらにこのカルテットはレコードという媒体と相性のよい音楽性を備えていた。ジャズの多くは音楽的には不安定なもので、レコードという記録媒体との相性は必ずしも良いとは言えなかった。
だがブルーベック~デスモント・カルテットはライヴでもスタジオでも常に安定した音楽を創造することができた。それが彼らをジャズ界一のトップ・グループに押し上げた。

'Dave Digs Disney'57.6,8(画像1)
'Jazz Impressions of Eurasia'58.7,8(画像2)
'Gone With The Wind'59.4(画像3)
この3作が59年6~8月録音の'Time Out!'まで上り詰めていくカルテットの記念碑的名作になっている。ライヴの仕事も学園祭ツアーからコンサート・ホールへ昇格しており、学園祭ツアー時代からのファンと新たなファンを取り込んでそのどちらも満足させることができた。

ブルーベックは早くからディズニーのアニメ主題歌をレパートリーにしており(日本で言えばジブリ主題歌のジャズ化に近い)、マイルスやビル・エヴァンスはブルーベックを踏襲した。「デイヴ・ディグズ・ディズニー」はディズニー公認のディズニー曲アルバム。ブルーベックとしてはやや緩いが全体の企画で楽しむべきだろう。『不思議の国のアリス』'Alice in Wonderland'も『星に願いを』'When You Wish Upon a Star'も『いつか王子様が』'Someday My Prince Will Come'もまずブルーベックが手をつけたのだ。

次の「ユーラシアの印象」は世界ツアーの記念アルバムで全曲オリジナル。世界各地をテーマにしたエキゾチックな曲が並ぶ。
次の「風と共に去りぬ」は映画主題歌をタイトル曲に古い時代のアメリカ南部をテーマにしたアルバム。『わが心のジョージア』'Georgia On My Mind'、『オールドマン・リヴァー』'Ol'Man River'等をやっている。この時代のブルーベックの企画力はすごかった。