人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補3f)セロニアス・モンク(p)

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

Thelonious Monk(1917-1982,piano)。
6年におよぶクラブ出演許可証没収がようやく明けたモンクは57年の夏から年末かけてクラブ「ファイヴ・スポット」に長期出演し、ジャズ雑誌の年間最優秀ミュージシャン賞に選ばれる。バドやトリスターノが10年も前に表彰されていたのを思うと、モンクの潜伏期間の長さには胸がうたれる。

前回掲載の「モンクス・ミュージック」は豪華4管フロントで、ジョン・コルトレーンと「テナーサックスの父」コールマン・ホーキンズを迎え、アルトには編曲名人ジジ・グライス、ドラムスはアート・ブレイキーという万全の布陣だった。ところが大ヴェテランのホーキンズがコード進行を見失い、つられてブレイキーも小節数を飛ばし、コルトレーンは冷静に本来の小節まで待つがモンク本人が慌ててコルトレーンに掛け声をかけ、という素人バンドのような演奏になってしまった。だがメンバー分制作費も高くついたし今が旬だから発売してしまった。事実面白いアルバムだから演奏ミスなど気にせず楽しめる。

57年のモンクのバンドはマイルスから一時クビになっていたジョン・コルトレーンを迎えたワンホーン・カルテットだった。このバンドが大評判になったのは前記の通りで、リヴァーサイドはアルバム制作を持ちかけたがコルトレーンはプレスティッジ専属だったためアルバム片面4曲分の録音しか実現しなかった。
Thelonious Monk With John Coltrane(画像1)57.4.16,62.6.26
-の6月分がそれで、4月分は「モンクス・ミュージック」の別テイク。モンクは理論だけでなくサックスの奏法にも詳しく、自宅にコルトレーンを招いて親切に指導したという。

Mulligun Meets Monk(画像2)57.8.12-13
-は白人バリトンサックスの大スター、ジェリー・マリガンとの共演作。この両者なら悪かろうはずはない。モンクのオリジナル5曲とマリガンの1曲をやっている。

2005年に突如発掘された、
At Carnegie Hall(画像3)57.11.29
-はコルトレーンとの57年カルテットの待望のライヴ録音。国会図書館の記録用録音で、音質は正式録音と遜色ない。もう1枚のコルトレーン入りカルテットの発掘ライヴと共に次回で解説する。