人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補3g)セロニアス・モンク(p)

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Thelonious Monk(1917-1982,piano)。
コルトレーンは57年末でマイルスの下に戻り、58年のファイヴ・スポット出演ではベースはウィルバー・ウェアからアーマッド・アブダル・マリクに、ドラムスはシャドウ・ウィルソンからロイ・ヘインズに代わった。言っては何だが明らかにテコ入れがあった。モンク自身の嗜好か、前年の成功に倣ってか、管楽器はテナーサックスのジョニー・グリフィンのワンホーンになる。グリフィンはソロ契約をリヴァーサイドと結んでいたからレコード会社側にも都合が良かった。

58年カルテットのファイヴ・スポットでのライヴは、
Thelonious In Action(画像1)58.7.9,8.7
Misterioso(画像2)58.7.9,8.7
-の2枚に分散収録されている。書き下ろしの新曲は1~2曲ずつしかないがとにかくバンドが絶好調で、モンクとグリフィンは「ジャズ・メッセンジャーズ・ウィズ~」でも共演したが抜群に相性がいい。最高傑作かはともかくこのライヴを愛聴盤にあげる人は多い。どちらを好むかは選曲次第だろう。筆者はジャケットとCD追加曲(''Round Midnight','Evidence')、選曲と編集の良さ('Nutty'で始まり後半の'In Walked Bud'からソロ・ピアノ'Just A Gigolo'、そしてタイトル曲への流れは絶品)で「ミステリオーソ」を好む。スタジオ録音のどの傑作にもない寛ぎがあるのだ。それはやはりグリフィンの貢献だと思われる。

というのは前回掲載したコルトレーン入りの57年カルテットの発掘ライヴも、90年代初頭に発掘され大反響を呼んだ、
Discovery!(画像3)58.9.11
-もグリフィン入り58年カルテットに較べるとどこか一体感に欠ける。「ディスカヴァリー!」はコルトレーン夫人の客席録音で当初57年録音とされたが、ベースとドラムスが58年メンバーなのでグリフィンが穴を開けた日にコルトレーンが代役を頼まれたものと判明した。同じコルトレーン入りカルテットでも57年と58年はかなり雰囲気が違う。これはコルトレーンの飛躍的成長によるとして、いずれにしてもバンドをぐいぐいドライヴさせるグリフィンとは優劣や好みはさておき資質が異なる。難しいところだ。