人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補8g)セシル・テイラー(p)

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Cecil Taylor(1929-,piano)。
この連載(全8回)ではテイラーの56年~74年の全作品を取り上げるが、ほぼ20年間で24枚は少なくないように見えるもののキャンディド社のように二回の録音でアルバム5枚という例もあり、実質的にはオムニバス収録も4枚あって、2年や4年のブランクも数回ある。その上大半が弱小レーベルからの発売だから売上げもたかが知れている。まったく反商業的な音楽性を考えればそれも仕方ないが、その上アルトサックスのジミー・ライオンズ、ドラムスのアンドリュー・シリルはテイラー・ユニットの専属メンバーだったのだから普通は続かない。しかしセシル・テイラーは普通ではなかった。

Fondation Maeght Nights(画像1)69.7.29
-はLPでもCDでも3枚組の大作で、ライオンズ、シリルにサム・リヴァース(テナーサックス)をゲストに加えたカルテットの、フランスのマグー近代美術館でのライヴ。曲は'Second Act Of A'1曲で、LPの片面ごとにパート1~6に分かれ、ソロ・ピアノだけのパートもありF面のパート6はアンコールで全編を凝縮した演奏になっている。全編で100分以上だからA面とソロ・ピアノ、アンコールだけ聴くことも多い。現在は権利不明で廃盤(掲載は廉価盤のジャケット)だが、これは無理してでも聴く価値がある。正式にCDの再発売はされないのだろうか。

次のアルバムは4年後で、当時流行のチック・コリアキース・ジャレットらのソロ・ピアノのブームから依頼されたものか、
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-は初のソロ・ピアノ作品だけあって、元々高いテンションがさらに高い。バンド作品よりもさらに過激で、14分のタイトル曲だけでぐったり疲れる。聴くにも気合いがいるのがテイラーだ。

そして何と!セシル・テイラー・ユニット(ライオンズとシリルとのトリオ)は来日公演で大反響を呼ぶ。会場も新宿厚生年金会館大ホールが満席になった。
Akisakila(画像3)73.5.22
-は82分の2枚組で、'Bulu Akisakila Kutala'全1曲をノンストップで演奏する(アンコールは未収)。66年のコルトレーンの来日は賛否両論で客入りも悪かったが、73年のテイラーは日本のジャズ界を席巻した。