人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補9j)ハービー・ハンコック(p)

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Herbie Hancock(1941-,piano)。
「ネフェルティティ」に続くマイルス・クインテットの次回作、
Miles Davis:Miles In The Sky(画像1)68.1.16&5.15-17
-はマイルス初のジャズ・ロック作品になった。この頃からマイルスはロックとソウルに本格的関心を高めたという。タイトルはもちろんビートルズの'Lucy In The Sky With Diamond'のもじりだった。
このアルバム制作の最終日でマイルスはハンコックとカーターに初めてエレクトリック・ピアノとエレクトリック・ベースを命じる。'Stuff'17分は久しぶりにマイルスの自作がアルバムの代表曲になったもので、前作のショーター「ネフェルティティ」同様管楽器よりもリズム・セクションのインプロヴィゼーションに主眼を置いている。
このアルバムは驚きを持って迎えられたが、二度は同じ手法は使えない点で過渡期の試作品ではあった。

ハンコック3年ぶり、第6作目のリーダー作、
Speak Like A Child(画像2)68.3.6&9
-はマイルス・クインテットに提供した'Riot','The Sorcerer'を含むが、タイトル作の瑞々しさがアルバム全体の基調をなし、アルト・フルート、フリューゲル・ホーン、バス・トロンボーンの柔らかなアンサンブルにピアノだけがソロをとる(ピアノ・トリオも2曲ある)と計算された作り。ジャケットのカップルはハンコック夫妻で、本当にこのジャケット通りのイメージの音楽が出てくるのだ。異色作だが万人受けする名作になった。

マイルスのバンドはついに転換点を迎える。
Miles Davis:Filles De Kilimanjaro(画像3)61.6.19-21&9.24
-は6月録音はそれまでのメンバーだが、9月録音はピアノとベースはチック・コリアデイヴ・ホランドに代わる。「ネフェルティティ」録音の残りと「キリマンジャロ」録音の残りが76年に'Water Babies'として発掘アルバム化されている。このメンバー交代の成果は絶大で、代表曲'Felon Brown'は新メンバーでなければこれほど斬新なファンキーさは表現できなかっただろう。