人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補9k)ハービー・ハンコック(p)

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

Herbie Hancock(1941-,piano)。
ハンコックはマイルス・クインテットから独立したが以降もマイルスはアルバム制作には適宜ハンコックを起用する。
In A Silent Way(画像1)69.2.17
-は「イン・ザ・スカイ」「キリマンジャロ」の実験が実を結んだ画期的なアルバムになった。マイルスは驚異的な自己刷新力を持つアーティストだったが、これほどの飛躍は、「カインド・オブ・ブルー」以来と言えた。ハンコック、コリア、ジョー・ザヴィヌルの3キーボードの貢献が大きく、AB面各1曲の抑制されたファンク・リズムにジョン・マクラフリンのギターとマイルス、ショーターが縦横に舞う。次作の2枚組大作'Bitches Brew'69.8はハンコック不参加だが、さらに過激なファンク・アルバムになっている。

マイルスのこの時期の音楽はそれまでのジャズマンのエイト・ビートを取り入れただけのジャズ・ロックと違い、主にイギリス~ヨーロッパのミュージシャンにフリー・ジャズとの折衷的ジャズ・ロックという影響を与えることになった。ソフト・マシーン、ヘンリー・カウらをその典型とする。だがマイルスの音楽は本国では孤立した試みでしかなく、クロスオーヴァーフュージョンは音楽的にはほとんどマイルスと関係ない。

ハンコックのブルーノート社からの最終リーダー作、
The Prisoner(画像2)69.4.18,21&23
-は基本はセクステット、最大でノネットの野心作で社会的メッセージを含み、今回も全曲オリジナルで冒頭の'I Have A Dream',タイトルと続くあたりはいいが、全編を聴くと抜けが悪い。ハンコックのアルバムで二回続けて聴く気がおきないのは珍しい。

74年発表の未発表曲集'Big Fun'69.11,70年代最大の怪作'On The Corner'72.6にもハンコックは参加しているが、
Miles Davis:Jack Johnson(画像3)70.4.6
-への参加を持ってハンコックのキャリアの節目としたい。A面の'Right Off'27分、B面の'Yesternow'25分半とも「サイレント・ウェイ」と「ビッチズ・ブリュー」を合体させたような強力ファンクで、ハンコックの以後の音楽はファンクと主流ジャズに大別されることになる。