人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補13a)ジョー・ヘンダーソン(ts)

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Joe Henderson(1937-2001,tenor sax)。実に十数人ぶりのホーン奏者の登場になる。晩年のヘンダーソングラミー賞にも輝き、この人より偉いテナーはロリンズとショーターしかいないという名声に達した。ロリンズやショーターよりも早逝してしまったが、本来ならば(補)として紹介して済む格の人ではない。

ヘンダーソンはトランペットのケニー・ドーハムに見出だされてデビューした。ドーハムはマイルスさえも一目おく才人で、センスとテクニックの総合点では、やはりマイルスが一目おくアート・ファーマー三羽烏をなしていた。
Kenny Dorham:Una Mas(画像1)63.4.1
-はハービー・ハンコックとトニー・ウィリアムズも参加、A面1曲B面2曲だが佳曲揃いで、30分ほどの収録時間も密度が高く何度でも聴ける。15分のタイトル曲は元々、ドーハム=ジャッキー・マクリーンの「インタ・サムシン」61で'Us'と名づけられていた曲。ヘンダーソンは初レコーディングから、当時の水準を抜く斬新な実力を見せた。

グラント・グリーンの「アム・アイ・ブルー」を5月録音に挟み、三度目の録音では早くもリーダー作が企画される。
Page One(画像2)63.6.3
-これは'Blue Bossa'収録のみならず全6曲(4曲はヘンダーソン、2曲ドーハム)の出来の良さで今後もロング・セラーを続けるだろう(実質的にはドーハムとの共同リーダー作と言える)-ブルー・ノート社期待の新人テナーはこの頃は当時全盛のコルトレーン影響下を感じさせるスタイルだった。ピアノにマッコイ・タイナー、ドラムスにはピート・ラロカという、トレーンゆかりのメンバーを招集している。ポピュラリティでは優れるが、ヘンダーソンらしさは後年のアルバムほど濃厚ではない。

次の録音参加作は、
Johnny Coles:Little Johnny C(画像3)63.7.8&8.9
-で、これは渋い。コールズはミンガス史上最強と言われた65年セクステットへの参加で名を残したトランペットだが、3曲ずつ2セッションで丁寧に制作された本作は(ヘンダーソンは全編参加)当時ブルー・ノート社が推進した、ポスト・ハードバップ新主流派の典型を逸早く提示した作品になった。