人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

#34.承前『イエスタデイズ』

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マイルス・デイヴィスの古いライヴ映像を観ると、先発ソロを終えたマイルスはジョン・コルトレーンのソロのあいだ、ステージ袖に引っこんでスタッフと雑談しながら煙草を一服している。これは元ボスのチャーリー・パーカーに習った、とマイルス晩年の自伝に出てくる。まだジャズがどういうものか知らない頃にその映像を初めて観て、こんなのありかよ、と驚嘆したものだ。

だがこの頃には実際音楽面でもバンドはぼくが仕切るようになり、それは最年長者でもありホーン奏者だったからだが、うちのバンドではぼくには演奏中の喫煙権もあった。先発ソロはぼくだから、花ちゃんや西島さんのソロの間はステージの袖でひと休みして、一服する。こんなのはジャズのスモール・コンボ以外ではあり得ないことだ。

セロニアス・モンクなどピアノ・ソロを終えたらバックステージにスパゲッティを食べに行ってしまい、おかげでコルトレーンはピアノレス・トリオで吹くのが特技になったという。
うちのバンドも花ちゃんがバッキングが不得意なギタリストだったから、ぼくはベースとドラムスだけバックに吹く場面が多かった。モード系の『ソー・ホワット』や『アフロ・ブルー』などの曲では花ちゃんは極端に省エネながらも的確なフォローをしてくれたが、それは間の手を入れないと花ちゃん自身も迷ってしまうからで、とにかく花ちゃんは最小限のコードしか弾かないのだがそれでよし、というのがうちのバンドのおおらかな点だった。

本来うちのバンドは、まだそんなことをする格ではなかったが、形から入るということもある。これまで関わってきたプロの人たち-田山さんや山本さん、西島さんにはその資格があったわけだが、うちのバンドはバンド全員でようやく一人前になるかどうか、という程度だった。
ついでだから西島さんのインディーズからのデビュー作と、うちのバンドをジャズクラブ出演に紹介してくれ、フライヤーのイラストとデザインをしてくれたトランペッターの山本さんのCDを紹介しておこう。画像がそれで、上が西島さんの97年のファースト・アルバムで全9曲中8曲オリジナルのピアノ・トリオ作品、下が山本さんの99年のバンド作品で全曲オリジナル。西島さんは今は女性ヴォーカル・デュオでコンスタントにアルバム発表している。山本さんのバンドはちょくちょくテレビCMに使われているようだ。