人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

新☆戦場のミッフィーちゃんと仲間たち(36)

 きゃあ、とネネちゃんは頭に座布団をかぶって悲鳴を上げました。空襲警報だわ、早く荷物をまとめて避難の支度をしなきゃ。ほら、昨日の残り物をお弁当箱に詰めて。ぼくがやるの?とマサオくん。そうよ、パパとおじさんは荷物をまとめてるでしょ。ぼくたちのこと?と風間くん。ボー、とボーくん。オラがお弁当詰めてもいいゾ、としんちゃんがおしりに器用に箸をはさんでケツだけ星人の踊りを踊りながらカニ歩きしてきました。なによ!そうだよしんのすけ、汚いなあ。オラのおケツもお箸も汚くないゾ、としんちゃんは巧みに箸を開閉させながら風間くんの耳たぶをつまむと、おならをスーッと吹きかけました。ああああ……と風間くんは弱点の耳を攻められ、しかも強烈に臭いすかしっ屁にへなへなと座りこみました。
 ちょっとお、しんちゃん、真面目にやってよ!リアルおままごとにならないじゃない!とネネちゃんは怒りますが、男の子たちにしてみればネネちゃんのリアルおままごとにつきあわされるのとしんちゃんの悪ふざけにつきあうのでは大差ないのです。むしろネネちゃんにあれこれ指図され、そればかりか自分たちから気をきかせたリアクションをしなければならないリアルおままごとの方が面倒くさいと言えるでしょう。どちらがイノセントかといえば、オトナの真似をしてふざけたがるとはいえしんのすけがイノセントなのに疑いはありません。
 あっ、雪だゾ、としんのすけが言えば、今は夏なのに本当に雪は降っているのです。ネネちゃんが同じことを言ってもそれは単にリアルおままごとの中の設定です。あっ、雪だゾ。風間くんとマサオくんは空を見上げ、手のひらをかざしましたが、雪は降ってきませんでした。ホントだ、とボーくんが空を見上げると、ようやくみんなは自分たちに雪が降っているのに気づきました。戦場っていうのはいろんなことが起こるんだね、と風間くんは感慨ひとしおでした。積もるのかな、とマサオくん、ぼく冬の服持ってきてないよ。心配ない、とボーくん、雪が降っても夏は夏だから。そうかしらねえ、と不満げに、ネネちゃん。
 しんのすけ、いつまでも尻出してると風邪ひくぞ、と風間くん。おっ、常識あふれるオトナの発言ですナ。まだ5歳だよ、と風間くんが返すと、それはわかってるゾ、としんちゃんはズボンも脱がさずに風間くんの魔法少女もえPのパンツを抜き取っていました。しんのすけはその技を最近覚えたのです。