人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

新☆戦場のミッフィーちゃんと仲間たち(75)

 というのはね、ミッフィーちゃんは言いました、つまり私が勝利を確信したのはってことだけど、シンメトリックの原理が私たちの敵対関係には働いているってことよ。私の予想では、たぶんこのお話しは80回で終わるでしょう。40回目までは窮地に陥っていたのは私たちの陣営だった。情況は41回目から劇的に反転し、あなたたちと私たちの勢力争いは再び私たちの優位に戻った……それはこのお話が始まるよりずっと以前の力関係だけれど、40回ずつが対称をなすように仕組まれたお話なら、あなたたちにはあともうわずかな残り回数でもう挽回の余地があるとは思えない。
 それは誰が決めているの?とハローキティは声をひきつらせました。あなたの言う通りなら、私たちは第1回、第2回と順を追ってここまで進んできたことになる。そんなことを誰が決めて、そういうふうに仕組んで、その通りに実現してきたというの?私が言いたいのは……つまりそれは、ぜんぶ今のあなたにとって都合の良い妄想と変わりはないんじゃないかしら。そうやってあなたは私を、私たちを心理的な罠にかけようとしているようにしか思えない。そうなんじゃないの?
 ミッフィーちゃんは再び笑い出しました。何がおかしいっていうの、と憮然とするハローキティに、あなたは罠と言ったわね、とミッフィーちゃん。それはもう、自分から負けを認めているようなことだってあなたは気づかないの?私は仮の話をしているのよ、とハローキティは反撥しましたが、だからよ、とミッフィーはうす笑いを浮かべました。仮定でもそれがあり得ることなら、それは現実の可能性のひとつということだわ。あなたが可能性を口にするなら、もうそのことは起こったのも同然なのよ。あなたは私が仕組んだ罠にかかった。実際は私がかけた罠ではないかもしれない。偶然のなりゆきにしか過ぎないかもしれない。でもあなたは自分にかけられた罠という可能性に気づいた。だとすれば、あなたはどうするのかしら?
 私はあなたのように汚い手は使わないわ、とハローキティは強い口調で言いました、たとえそれで優位を挽回できるとしても、卑怯な手を使うのは自分を相手の汚い手口と同じにしてしまうことだから。
 ずいぶんプライドがお高いのね、とミッフィーちゃんはせせら笑いました。でもそんなことを言っている余裕がまだあなたにはあるかしら。たとえば、あなたにリボンを返して差し上げると言ったら?