鶏肉は脂が出るので豚や牛より焼き易いが、火の通りは牛豚より悪い気がする。もっとも鶏肉は牛豚のように薄切りではなく厚切りで焼くことが多いから単に厚みの問題かもしれないが、薄切り牛豚肉と較べても赤身に含まれる脂肪分は少ないのではないか。ローカロリーを謳われるのはそういうことだろう。湯通ししたチキンサラダなどを思いあわせても、脂っ気は畜肉類では一番低いかもしれない。鶏肉はレアというわけにはいかないから串で刺して火が通っているか確かめる方法があるが、もっと手っ取り早いのは2枚一度に焼いて先に食べる方をそろそろかな、という辺りでフォークを入れる。そのまますぐ食べる方はスライスしてもいい。取っておく方は冷めたらラップにくるんでおき、食べる時にはラップのまま皿に乗せ40秒もレンジにかければ温まる。
だが鶏肉の最大の魅力はその安さにある。胸肉100グラム48円なんていうのは他の畜類では考えられない。写真のチキンステーキは120グラムあるが、これが4枚入って280円。100グラム58円という計算になる。4枚というと480グラムだが、重さの1ポンドというのがちょうどそのくらいのはずで、アメリカ人の食生活は牛肉の1ポンドをコーヒーで流し込みながら1食で食べきるのだという。昔社会人だった頃、まとまったひと仕事を部署で終えて安ステーキ屋で打ち上げ、1ポンドステーキ勝負で男の中の男を競ってよく仲間と遊んだものだった。1ポンドでも苦しいがさらに1/4ポンドずつの増量もあって、最大2.5ポンドのステーキがメニューに載っていたと思う。1200グラム、なんと1.2キログラムと、キログラム台に上ってしまうのだった。ステーキ勝負についてはこれでは全然説明が足りない。また回を改めて語ることにして、今回は序の口で終える。