人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ビリー・ホリデイ Billie Holiday - Embraceable You (Commodore, 1944)

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ビリー・ホリデイ Billie Holiday with Eddie Heywood and his Orchestra - Embraceable You (George & Ira Gershwin) (Commodore, 1944 - Master Take / Take 3) : https://youtu.be/olsxeDG0moI - 3:17
Recorded at WOR Recording Studios, Broadway 1440, NYC, April 1, 1944
Original Released by Commodore Records Commodore 7520, 1946
from the 12inch LP "Lady Day (1939-1944) The Sixteen Original Commodore Interpretations", Commodore Records CCD 7001 MONO, 1988

 ビリー・ホリデイ(1915-1959)がメジャーのコロンビア/ブランズウィックからインディー・レーベルのコモドアに移籍して放った名唱。ジョージ・ガーシュイン作曲、アイラ・ガーシュイン作詞の兄弟コンビによる1930年のミュージカル挿入歌で、ビリーはフランク・シナトラ(1915-1998)と同年生まれで重なるレパートリーも多く、この曲はシナトラの得意曲でもあります。ビリーは18歳(1933年)でデビューし、抜群のスウィング感で天才少女と謳われた歌手ですが、20代終わり近いこの曲の録音あたりからバラード歌唱に向かっていきました。しかしバラードではイタリア系白人男性のシナトラに分があり、ポピュラーなシナトラとコアなジャズ愛好家向けの黒人歌手ビリーという格差はビリーの晩年まで続きます。ビリー逝去翌年のシナトラの同曲の何度目かの名唱はこれです。

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Frank Sinatra - Embraceable You (from the album "Nice 'N' Easy", Capitol SW1417, 1960) : https://youtu.be/SB7sHyhOQS8 - 3:21

 シナトラとビリーのレパートリーはジャズのスタンダード曲になったので、ビリーのシングル発売の翌年さっそくビ・バップの開祖チャーリー・パーカー(1920-1955)が録音したのがまったく原曲のメロディーが出てこないアドリブ一発勝負のこのヴァージョンでした。2テイクともフレーズがまるで異なります。まだ21歳のマイルス・デイヴィスが神妙にブリッジを吹いています。すごいメンバーのバンド(ピアノは直前までバド・パウエルでした)です。

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The Charlie Parker Quintet - Embraceable You (Dial, 1947 - Master Take / Take B) : https://youtu.be/bPOGGxOtmLA - 3:22
The Charlie Parker Quintet - Embraceable You (Dial, 1947 - Alternate Take / Take A) : https://youtu.be/xT6Vk8WtlNo - 3:44
Recorded at WOR Recording Studios, Broadway at 38th Street, NYC, October 28, 1947
Original Released by Dial Records Dial 1024, 1948
from the 10inch album "Charlie Parker No.3", Dial 203, 1949
[ Personnel ]
Charlie Parker - alto saxophone
Miles Davis - trumpet
Duke Jordan - piano
Tommy Potter - bass
Max Roach - drums

 フリー・ジャズの旗手としてデビューしたオーネット・コールマン(1930-2015)はチャーリー・パーカー以来の天才と謳われたアルト奏者で、頑として自作オリジナル曲しか演奏しないことでも異色のジャズマンでしたが、明らかにパーカーを意識してメジャーのアトランティックでの3作目のアルバムでは唯一スタンダードの同曲を取り上げています。パーカーと異なり原曲のメロディーに極めて忠実、しかしこれもすごいメンバーのバンドによるスカスカのアレンジで音楽が異空間に飛んでいるのがオーネットならではの感覚です。

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The Ornette Coleman Quartet - Embraceable You (Atlantic, 1960) : https://youtu.be/Yzmw9tzHPKM - 4:50
Recorded at Atlantic Studios, NYC, July 19, 1960
from the album "This Is Our Music", Atlantic 1353, February 1961
[ Personnel ]
Ornette Coleman - alto saxophone
Don Cherry - pocket trumpet
Charlie Hayden - bass
Ed Blackwell - drums