Recorded in Germany under Conny Plank
Released by RCA Victor Records (UK) SF8111, August 1969
Produced by Conny Plank & Organization
All tracks written by Organisation.
(Side 1)
A1. Tone Float - 20:46
(Side 2)
B1. Milk Rock - 5:24
B2. Silver Forest - 3:19
B3. Rhythm Salad - 4:04
B4. Noitasinagro - 7:46
[ Organization ]
Basil Hammoudi - glockenspiel, conga gong, musical box, bongos, percussion, vocals
Butch Hauf - bass, shaky tube, small bells, plastic hammer, percussion
Ralf Hutter - Hammond organ, organ
Alfred "Fred" Monicks - drums, bongos, maracas, cowbell, tambourine
Florian Schneider-Esleben - electric flute, alto flute, bell, triangle, tambourine, electro-violin, percussion
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(Original RCA Victor "Tone Float" LP Liner Cover & Side 1/2 Label)
さらに発掘が及んだのはヒュッターとシュナイダーがクラフトワーク以前に組んでいたバンド、オルガニザツィオーンの唯一のアルバム『Tone Float』'69で、ドイツのバンドでドイツ録音ながら国内では発売されずイギリスのRCAヴィクター原盤で発売されたこのアルバムは、同時期のドイツの実験ロックのバンドのアルバム、カンの『Monster Movie』'69、アモン・デュールの『Psychedelic Underground』'69、アモン・デュールIIの『Phallus Dei』'69、タンジェリン・ドリームの『Electronic Meditation』'70、エンブリオの『Opal』'70、グル・グルの『UFO』'70、クラスター(Kulster)の『Klopfzeichen』'70、ポポル・ヴーの『Affenstunde』'70、アシュ・ラ・テンペル『Ash Ra Tempel』'71、ファウストの『Faust』'71、クラスター(Cluster)の『Cluster 1』'71、ノイ!の『Neu !』'71、アジテーション・フリーの『Malesch』'72、クラウス・シュルツェの『Irrlicht』'72などと共通する作風のものでした。B面はベースの音が聴こえてほっとするB1から、一応ドラムらしいドラムスが聴こえるB2と既成音楽らしい風情がありますが、全体に初期の実験的な『A Saucerful of Secrets』'68、『Ummagumma』'69の頃のピンク・フロイドからの影響が強いのがドイツの実験派ロックの特徴で、A面全面を使ったアルバム・タイトル曲もフロイドの『A Saucerful of Secrets』のアルバム・タイトル曲の延長線上にある音楽です。タンジェリン・ドリームの第2作『Alpha Centauri』'71のアルバム・タイトル曲もそうでしたが、もっと徹底していたのがアシュ・ラ・テンペルでデビュー作から第2作『Schwingungen』'72、第3作『Seven Up』'72、第4作『Join Inn』'72まで別タイトルですがB面は全部同じ曲の別ヴァージョンで、フロイドの『A Saucerful of Secrets』タイトル曲を下敷きにした即興メディテーション曲でした。ドイツ的発想では瞑想=エスニックとなるようで、フロイドにはなかったエスノ色が加わっているのも両アモン・デュール、エンブリオ、ポポル・ヴー、アジテーション・フリー、そしてオルガニザツィオーンの特徴です。アルバム発売時にはすでにバンドは解散し、裏ジャケットにトレード・マークの交通標識があるようにヒュッターとシュナイダーはクラフトワークの活動を始めていましたが、クラフトワークではフリー・インプロヴィゼーションがもっとミニマル・ミュージック的な方向性を備え、メディテーション色とエスノ色を払底したものになりました。オルガニザツィオーンからクラフトワーク第7作『The Man Machine』までは1作毎に確かな足どりで創意工夫に満ちた実験的ロックが聴くことができ、これほど純粋に白人音楽でありながら黒人音楽に決定的影響を与えてポップスの歴史を変えてみせた存在はないので、やはりこれは大したものなのです。しかもそこにはこれがロックならば普通ロックと呼ばれる音楽とはいったい何かという批評性すらあり、これもまたクラフトワークの功績となっています。さらに音楽性から想像されるには意外にも、クラフトワークは強力なライヴ・バンドでもありました。またご紹介する機会があればそれらの側面ももっと探ってみたいと思います。