人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

イタリアン・ロックの甘美な世界

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イタリアン・ロックへの認知度はどう見てもそう高くない。ヨーロッパのロック、いわゆるヨーロピアン(ユーロ)・ロックで3大国はドイツ、イタリア、フランスなのだが。だが踏み込めばなかなか抜け出せない魅力があるのだ。
マニアなら30年前に輸入廃盤LPで買い、国内発売盤で買い、初CD化で買い、リマスターCDで買い、ボーナス・トラック入りデジパックCDで買い、紙ジャケット盤CDで買い、こうして同じアルバムを最低6種類は持っている。究極は通称「オリちゃん」と呼ばれる本国初回盤LPでまず10万円台は覚悟。まあ女性のマニアはいない。

実はぼくのフリーライター時代の通勤路に国際的に有名なユーロ・ロック専門店があり、更にぼくの住む隣町にも国際的に有名なユーロ・ロック専門店があって(しかもLP専門)、拘置所から出てきて不毛な再就職活動をしている間に隣町の専門店にLP400枚は売ってしまった。残り400枚はユーロ・ロックじゃないから売れなかった。
生活保護受給者になってからは多少は残るおこづかいから売ってしまったアルバムを中古CDで買いなおす(1000円が上限)のが乏しい楽しみだ。
20代で聴いていた時より味わいが増している。30代がまるごと結婚生活の10年間だったからかもしれない。

ぼくは妻にジャズの演奏活動すら止められていた。共通の女友達の紹介でぼくのバンドのライヴを見に来てくれたのが妻との出会いだったのに。結局ぼくのバンドは自然消滅。ライヴをやらないバンドなら当然だ。結婚間もなく乳児を授かったからぼくはライヴどころか保育園に間に合う時間までしか仕事を受けられなかった。

話をイタリアン・ロックに戻そう。図版は上からP.F.M「幻の映像」(1973)、バンコ「ダーウィン!」(1973)、アレア「呪われた人々」(1977)、この3バンドの70年代のアルバムがイタリアン・ロックの最高峰と言っていいだろう。イ・プー、フォルムラ・トレ、ニュー・トロルス、レ・オルメなども大物バンドと目されるが、代表作だけで十分な感じがする。
ぼくの好みではオザンナ全4作、クェラ・ベッキア・ロカンダの全2作、たった1枚珠玉のアルバムを残したイル・パエーゼ・デイ・バロッキに肩入れしたい。まだまだ名前をあげたいが、とにかく情感が濃くて病み付きになる。それがイタリアン・ロックだ。