人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

虫垂炎退院日記(3)続躁鬱病入門

(2)の「躁鬱病入門」書き上げてぐったり疲れた。あれでも双曲性障害(躁鬱病)についてはほんの一部を述べただけにすぎない。鬱については一般的なイメージがあるだろう。身近に鬱の知り合いがいる人も、自分自身が経験した人も多いだろう。一方、躁については精神疾患ではなく人格上の問題、トラブルメイカー的な行動を繰り返す性格と見過ごされやすい。疾患としての軽重ではなく、躁鬱はそれほど把握しづらい疾患だということだ。

ぼくは一昨年の入院で初めてそれまでの「急性ストレス障害(抑鬱)」から病名診断が「双曲性障害」に変っているに気づき、これは入院時の申し送りによるものだから通院先の主治医の診断によるものだから鬱が重篤になる前の時期を合わせているんだな、あれが鬱と双曲をなすものだったのか。ぼくは詳しく一般的症状を知りたかったが、入院先の主治医からそれを聞くことはできなかった。

退院はお盆休みに重なった。図書館や書店で躁鬱病について調べた。躁鬱についての一般書はあまり需要がないらしい。図書館で言えば、精神保健の本が棚に1列あれば統合失調症候群6割に鬱3割、後の1割に発達障害人格障害、躁鬱の本が2、3冊ずつ。それでもあちこち回って6、7冊読むことができた。
前回の「躁鬱病入門」に挙げた躁の病相のすべてをぼくが毎回繰り返しているわけではない。あれはあくまでも典型例で、ぼくの場合はしなかったこと、したけれど典型例ではないので省いたこともある。だが文献から見ると精神医学上ぼくは明らかに躁鬱病に違いなかった。
森に住む悪魔を「ライオン」と名付けたとたん、それはただの動物になった-とは、なにで読んだ話だろう。「ストレス障害」という宙ぶらりんの診断で持ち続けてきた不安が拭底された思いだった。

ほぼ同じような内容を以前にも書いた。今回はリメイク、セルフカヴァー(和製英語?)みたいなものだ。その分精度は上っていると望みたい。
退院後の初通院で、主治医は「申し訳ない。今まで見抜けなかった」と言った。ぼくは盆休みに文献を調べたこと、これまで自分自身でも躁の自覚がなかったことを話した。
それにおそらく医療者側の先入観もあった。失業、病気(肺炎、パニック発作)、離婚、入獄、転居、再就職の頓挫。ぼくは履歴から鬱病だと診断され、それは短期的な問診では間違いではなかった。