ディラン『スペイン革のブーツ』

『スペイン革のブーツ』
恋人よ、私は船出する
朝には船が出るのよ
海の向うから送ってほしいものはないかしら
私が上陸する国から
いや、恋人よ、なにも送らなくていい
なにもほしいものはない
ただ汚れずに帰ってきてくれればいい
寂しい海のかなたから
ああ、でもあなたにいいものはないかしら
銀や金でできたものを
マドリッドの山々や
バルセロナの岸辺から
いや、もしぼくに暗い夜から取り出した星と
深い海から拾ったダイアモンドがあっても
きみのキスにまさるものはない
それがぼくの望みのすべてだから
でも私の旅はたぶん長くなるから
それで私は訊いているだけなの
あなたがもっと楽にすごせるように
私を思い出せるようなものが送れるかしら
ああ、きみはいったい何度も訊くんだい
ぼくは悲しくなるだけさ
今日ぼくがきみに望んでいることは
明日もぼくがきみに望むことと同じなのに
ある寂しい日に手紙が届いた
彼女の乗る船からだった
いつ帰るかはわかりませんという、それは
彼女の気分次第だと
そう、恋人よ、もしきみがそう思うなら
きっときみの心はさまよっている
きみの心はぼくと共にはいない
それはきっときみの行く先にある
では気をつけて、西風に気をつけて
嵐の天候には気をつけて
そう、もしきみが送ってくれるのなら
スペイン革のスペイン製ブーツがいいな
(前記アルバムより)
発表順では『北国の少女』が先なのでこの曲は影が薄い。歌詞もいかにも元ネタがありそう。でもしみじみするんだな。