人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

『マイ・バック・ペイジズ』

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ザ・バーズはデビュー曲でNo.1ヒット『ミスター・タンバリン・マン』1965以来アルバムには必ずディラン曲が恒例で、20曲にも及ぶ中には本人の録音より膾炙したものも多い。「アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン」'Another Side Of Bob Dylan'1964からのこの'My Back Pages'もバーズの名盤「昨日よりも若く」'Younger Than Yesterday'1967でスタンダードになった。バーズ版を踏襲したキース・ジャレットのジャズ・ヴァージョンも有名。

『マイ・バック・ペイジズ』

ぼくの耳のなかで炎が綱のように燃え
高く舞い上がり罠になる
無数の火そして炎の道
思想だけがぼくの地図
「崖っぷちで会おう」とぼくは言い額を
誇らかに上げた、たぶん
ああ、あの時ぼくは老けていたけれど
今はずっと若い

半ば破綻した偏見が跳びだし
「すべての憎しみを引き裂け」とぼくは叫んだ
人生は黒か白という嘘が
ぼくの頭蓋骨からしゃべる夢を見た
銃士たちの真のロマンスには
なぜか深い基礎があるようだ、たぶん
ああ、あの時ぼくは老けていたけれど
今はずっと若い

少女たちの表情は偽りの嫉妬から
前方に小路を造り
旧い歴史のなかの
政治の記憶へ向かう
死体の福音主義者たちに思わず
叩きつけられたようだ、たぶん
ああ、あの時ぼくは老けていたけれど
今はずっと若い

自ら命じた教授の舌は
からかうには真面目すぎ
自由と吐き出した言葉は
学校での平等だ
「平等」とぼくはまるで結婚式の
誓いのようにつぶやいた、たぶん
ああ、あの時ぼくは老けていたけれど
今はずっと若い

兵士の構えでぼくは手を
雑種の犬に差す
犬は恐れずにぼくに教える、ぼくが説教するなら敵だと
ぼくの小路は混乱のボートが進み
反乱は船尾から船首までひろがる、たぶん
ああ、あの時ぼくは老けていたけれど
今はずっと若い

そう、ぼくの護衛は守りを固くし、無視するには
貴すぎる抽象的脅威がぼくを騙し、ぼくに
守らなければならないものがあると考えさせた時
善と悪、これらの言葉をぼくは明確に定義する、疑いもなく、たぶん
ああ、あの時ぼくは老けていたけれど
今はずっと若い
(前記アルバムより)