これがミュージック・ライフ誌がビートルズ現役時代にもらってきたサインで、「To Rumi」とあるのは星加ルミ子編集長のことだ。実物大ということか、ひとり1ページずつどーんとサイン(と顔写真)だけ載せてある。今では考えられない大胆不敵な誌面構成だが、ビートルズ現役時代とはそういう時代で、ビートルズはそれに値する存在だったということだろう。
で、肝心のサインだがビートルズにしてはこれでもていねいな方だろう。わざわざ振り袖を着てビジネスにやってきた星加編集長にビートルズの面々は相好を崩しっぱなしだったそうだし(シンコー・ミュージックの作戦勝ち)、マネージャーのブライアン・エプスタインは1966年の極東ツアー(そして最後のツアー)で特に日本を重要視した。
余談ですが1966年といえば初代ウルトラマンと「大魔人」です。訪問看護のアベさんは大魔人知らなかったが31歳ならそんなものか、と思ったら今日行ってきたメンタル・クリニックの主治医のK先生は40代なのに知らなかった。K先生は韓国系だが医師の家系で帰化して長いので日本人と変りない。映画好きの人なのでちょっと意外だった。ちなみにK先生はボブ・ディランは「ジョン・レノンが尊敬していた人」という認識。普通そんなもんか。
サインの検討に移ろう。雑誌ではリンゴとジョージで見開き、次の見開きでポールとジョンなのだが、年功序列で並べてみた。元々の並べ方も微妙だ。現代ならプロダクションがこういう順列まで注文をつけてくるのが当然になっている。ミュージック・ライフの並べ方はアイドル組のリンゴ&ジョージ、アーティスト組のポール&ジョンということだろう。
昔本屋でバイトしていた時アイドル雑誌の付録がチェッカーズで、メンバー全員の絵日記が載っていたのを思い出す。一目瞭然リーダーのギタリストと藤井フミヤのふたりがずば抜けてセンスがよく、あとはドングリだった。
さて、リンゴが意外と穏当にサイン+イラストでまとめている。ジョンとポールはどちらもにぎやかに見えるが、ポールは実はサインだけで勝手にジョンがイラストを足したのがわかる。まるでレノン=マッカートニーの共作曲のようで感心する。ポールは骨太だが、ジョンはでしゃばるのだ。自分のサインだけでもリーダー風を吹かしている。
あとひとり。こういう性格の人なのね。許す。