Ornette Coleman(1930-,alto sax,trumpet,violin)。
前回掲載の「未踏峰」はおそらくラジオ放送用音源で録音もいい。その癖ローマ録音としか判らず、「未踏峰」では67年、「コンプリート1968イタリアン・コンサート」(画像4)では68年になっている。この2ベース・カルテットはイタリアのライヴしか録音が残っていない。「未踏峰」を聴く限り、65年トリオにアルコ(弓弾き)のアイゼンソンとピチカート(指弾き)のヘイデンを重ねた発展型に聴こえる。
だが「イタリアン・コンサート」の2枚目、ミラノでのライヴ、
Languages(画像1)68.2.5
-は3曲55分半の熱演で、観客録音の粗末な音質ながらオーネット最高の爆発演奏が聴ける。1曲目の'Tutti'は後に'School Work','The Good Life','Theme From A Symphony'とアルバムごとに改題される曲の初演で、アルトサックスのソロだけで23分聴かせる。他2曲も13分45秒と18分48秒、これが冷静な「未踏峰」と同じバンドかと思うくらい熱い。
次にオーネットはイギリス公演をしたらしい。組合規制は緩んで、「クロイドン~」の時のような問題はなくなっていた。そして、リハーサル時に録音された1曲が、
Yoko Ono:Plastic Ono Band(「ヨーコの心」70,画像2)68.2
-に収録されている。これは言わずと知れた「ジョンの魂」(画像5)と対になるアルバムで、オーネットとの共演はこのカップルがつきあい始めた頃になる。次作「フライ」からは歌を歌い始めるヨーコだが、このアルバムでは絶叫や呻き声など歌詞のないヴォーカリゼーションで通しているので、オーネットとの共演曲'AOS'がかえっておとなしく聴こえる。
帰国したオーネットのバンドからはアイゼンソンが退団し、テキサス時代からの旧友デューイ・レッドマン(1931-2006、テナーサックス)が加わる。ブルーノート社の発案で元コルトレーン・カルテットのジミー・ギャリソンとエルヴィン・ジョーンズとのセッションが企画され、2回の録音でアルバム2枚分が制作された。
New York Is Now!(画像3)68.4.29,5.7
-がまず発表される。解説は次回で。