人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(4)カトリーヌ・リベロ+アルプ

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 フレンチ・ロック(4)は初めての女性ヴォーカル・バンド。しかもアンジュ、ゴング、マグマに匹敵する大物。フランス4強だろう。さらに全組現役でもある。

 この4月発売の4枚組セット(画像1)のおかげで、晴れて気兼ねなくカトリーヌ・リベロ+アルプ(Catherine Ribeiro + Alpes)をご紹介できるようになった。これはデビュー作から4枚(1970-1974)を収めたセットで(それ以前に2Bis名義で1969年にアルバムを発表)、中では「平和」1972(画像2)と「野の鼠と男」1974が特に良く、この間の飛躍が著しい。
 最高傑作は5作目の「(自由?)」1975(画像3)だと思うが(04年発売の4枚組ヒストリー・ボックスも「(自由?)」を表題にしている)、「鼠と男」と「(自由?)」は連作。ここまでのリベロ+アルプは必聴で、シャンソンから発展したロックだがアンジュのように陽性ではない。歌もサウンドも一面暗黒。元祖ゴスかもしれない。

 今回の再発売は4枚組5千円とやや高いが、リベロ+アルプのアルバムは94年のCD化以来廃盤となり相当なプレミア価格なのだ。中古CD1枚が3万6千円!?それがやっと(初期4作だけだが)普通に買えるようになった。ちなみに中古LP初回盤は5万ドルで取引されている。50万円!?

 再発売を期待したい「(自由?)」1975からの後期4作は「似通った時間」1977、「パッション」1979、「デッブソレ(甘やかされた子供)」1980で、これを最後にリベロシャンソン歌手に転向する(すでにエディット・ピアフ集を77年、ジャック・プレヴェール集を78年に発表)。ただし音楽監修は一貫してピエール・ムーレだからリクエストに応じてアルプの一時的再編もあり、07年には本格的な復活コンサートもあった(画像4)。リベロ66歳(1941-)。歌はいい。さすがだ。でも若手のバックがアルプのサウンドじゃないな。

 リベロ+アルプの前史はアイドル女優としてリベロが活動していた1963年にさかのぼる。その年リベロゴダールブレヒト風映画「カラビニエ」に主演、音楽家ピエール・ムーレと出会った。
 デビューは遅れたがリベロ+アルプは一躍70年代フレンチ・ロックの最前線に立った。女性ヴォーカルとバック・バンドではない濃厚な一体感があった。