人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(19)国民的バンド、イ・プー

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(15)(16)(17)と私の人生暗かった-ではなくて、オザンナ系大特集は大してアルバム解説もしなかった。総論だけだった。総論#1-イタリア70年代ロックは70年代エアロスミスに似ている。総論#2-オザンナ系伊70年代ロックはジェスロ・タルキング・クリムゾン影響下の狂気の邪悪ロックである。

この指摘は妥当で、当時イタリアで人気があったイギリスのバンドはタルとクリムゾンの次にヴァンダー・グラーフ・ジェネレーター、ジェントル・ジャイアント、邪悪時代のジェネシス、HRだがユーライア・ヒープという資料もある。PFMとバンコはこっち(ヒープはオザンナ系だが)だろう。タル『アクアラング』、クリムゾン『エピタフ』、ヒープ『対自核』なら知ってる人は鼻歌で歌えない(無理)と思うが伊ではカヴァーして基本、という無謀なバンドが続出した。しびれる。

日本では前々回の6バンドではブロンゾ「YS」とムゼオ「ツァラトゥストラ」に飛び抜けた人気があり、どちらも鬼気迫る名作だが好みを言えばムゼオか。それよりも筆者の愛着はビリエットです、というのが前々回で、返す刀で前回はでヘタレ系シンガー・ソングライターをご紹介したが、かたや「地獄への乗車券」かたや「死に至る季節」と世界観はあまり違わない。イタリア人がそんなに暗かったなんて意外だ。

いや、やっぱりロックをやっている連中が例外なのであって、国民の大勢は明るい音楽を支持しているのではないか?老若男女に「いいねえ」と好かれる、そんな国民的バンドがあるのではないか?
それがイ・プー(I Pooh,1966-)で、ディズニー・アニメより先に「プーさん」と名乗ったこのバンド、なんとデビュー46年になる。日本のGSと同期のまま第一線の人気を保ってきた。

ただし基本的にはポップスなので60年代はシングル集が2枚。アルバム単位では大手CBSに移籍71年の「オペラ・プリマ」(画像1)、翌年の「ミラノの映像(アレッサンドラ)」(画像2)で作風を確立する。すなわちイタリアならではの「ラヴ・ロック」というジャンルがそれだ。
続いてオーケストラ共演の「パルシファル」1973(画像3)、「ロマン組曲」「ミラノの騎士」(共に1975)の三部作では同時代の流行に負けないクラシカル・ロックを披露。その後ポップ路線に戻り現在に至る。以上駆け足で紹介しました。