人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

オランダの70年代ロック

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少々意外だが、ビート・グループ時代のゴールデン・イアリング(70年代の『レイダー・ラヴ』のヒットのほうが印象的か)やショッキング・ブルー(『ヴィーナス』)の国際的ヒットでオランダのロックは仏独伊の「英米以外のロック三大国」よりも早く認知されていた。ただし、これからご紹介する70年代の大物グループもそうだが、オランダの場合は自国のマーケットだけでは小さく、プロのバンドは始めから国際的成功を目指す。よって歌詞はすべて英語かインストルメンタル、もしくはスキャットなどになる。

掲載アルバムは、
○アース・アンド・ファイア「アース・アンド・ファイア」1970(画像1)
○フォーカス「ムーヴィング・ウェイヴス」1971(画像2)
○スーパーシスター「プレゼント・フロム・ナンシー」1970(画像3)

で、フォーカスのこのセカンド・アルバムは英米でも大ヒットし、ギタリストのヤン・アッカーマンはイギリスの音楽誌ではエリック・クラプトンを追い落としてポール・ウィナーになった。それについてのコメントがいい。「私は国立音楽院の出身だ。ブルース・ギタリストと比較するな」
キーボード、フルート、ヴォーカルのタイス・フォン・レアーも国立音楽院出身で、この無茶苦茶プライド高い凄腕ミュージシャンの双頭リーダー・バンドがフォーカスだった。75年アッカーマン脱退、バンドは78年まで続く。クラシックとメタルの融合を実践した初のバンドで、70年代ロック最大の珍品と言える。笑ってしまうのだ。

アース・アンド・ファイアは女性ヴォーカルのジャーニー・カーグマンにギターとキーボードのケーツ兄弟を中心としたバンド。掲載のファーストからは『シーズンズ』が日本でもヒット。第二作「アムステルダムの少年兵」第三作「アトランティス」はプログレッシヴ・ロックの名作。その後は徐々に良質のポップスに変化。それも佳いです。

スーパーシスターは弱冠20歳の才人ロバート・ヤン・ステップスが大学の学友と始め、在学中のデヴュー作で一躍オランダのロック・シーンのブライテスト・ホープになったバンド。70年の時点では国際的にも抜群に独創的なジャズ・ロックを演奏。フォーカスに較べれば小粒だが、センスではこちらに分があるかも。

以上、今回も順当でお薦めできるセレクトでした。ほんとです。