新しく革のジャンパー(本当はポリエステル。画像下)を買った。古着屋で600円。一枚生地だけの薄っぺらなジャンパーだが気密性はいいので、厚手のセーターを着てマフラーと手袋もすれば短時間の外出ならしのげるだろう。しのげるだろうか?
先の冬、もう20年来着ていた革ジャンのチャックが壊れてしまった。それが上の画像で、セーターが絡まってどうにか外そうとしたらこうなった。もう寒い日は終りつつあったから次の冬までに何とかすればいいや、と思っているうちに秋の終りが近づいてきた。そろそろ治しに出さねばならない。
新しいチャックとの付け替えになるから、5千円くらいは覚悟しなければならないだろうか。月に7万円ほどで生活している身にこの金額はきつい。服のリフォームの当ては4軒ほどある。できれば見積りを先にもらい、いちばん安いところに頼みたい。
たしか12月の中旬まではセーターに厚手のジャケットでしのげた。冬は光熱費もかさむし、年末は別れた妻子にクリスマス・プレゼントとお年玉がある。年賀状だってある。実質的にそれだけで生活費の半分がとぶ。今年は外食は二回だけ、二回とも牛丼屋だ。あとは自炊、自炊、自炊の毎日。精神障害級数が下がって給付金が受けられなくなったからだ。それでも主治医の診断では就労不可能・障害一級相当の人間が外食もせずに自炊している。
何とか一軒目に見積りを出した。11月12月はだいぶ苦しくなる。米と麺とパンと。一日三食は大体この組合わせだ。間食はしない。今年はチョコレート一枚、菓子と呼べるものは一切食べなかった。
戦前のダダイストはだいたい絶食して死んだ。ストイシズムからとは言えない。佐伯祐三、辻潤、尾形亀之助、尾崎放哉(山頭火はエピキュリアンだった)、藤澤清造。蚤と虱にたかられ、凍死または衰弱死した。緩慢な自殺には違いない。消極的だが確実な、お迎えが来るのをじっと待つような、優柔不断でいさぎ悪い自殺かもしれない。
坂口安吾は辻潤に代表される日本のダダイズムの脆弱さを批判したが、本人もその継承者みたいなものだった。三島由紀夫が坂口を生涯尊敬したのは逆説でも何でもなかっただろう。
長女とは4千日、次女とはその2/3も暮らせなかった。古い革ジャンとのつきあいの方が長い。この冬は、どちらのジャンパーと過ごすことになるだろうか。