人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(11)ソニー・ロリンズ(ts)

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Sonny Rollins(1930-,tenor sax)。メッセンジャーズのアルバムはたいがいドラム・セットに座り大口を開けたブレイキーがジャケットだが、ソニー・ロリンズのジャケットはほとんどテナー・サックスを構えたロリンズのポートレイトになる。ジャズの代名詞ともいえる「サキソフォン・コロッサス」1956のタイトル通り、白人のスタン・ゲッツと並び、若冠25歳にしてロリンズはジャズ・テナーの巨匠だった。現在82歳にして現役、キャリアは60年を軽く超える。全盛期を共にした同僚たちはみんな鬼籍に入ってしまった。若き日に薫陶を受けたパーカーやバドはもちろん、友人のクリフォード、ライヴァルだったコルトレーンやゲッツ、師匠だったモンクやブレイキーやマイルス、最後にローチまで召されてしまった今、ジャズ界でロリンズと肩を並べられるミュージシャンはいない。

これだけ長いキャリアなのだからマイルスのように前後編にすべきか、というとそれも似合わないのがこの人で、アルバムの数は相応に多いが、早くから人気が高かったため粗製乱造せずに済んだ。
例えばプレスティッジというインディーズ・レーベルにロリンズは5年間で8枚吹き込んでいるのに対し、遅咲きのライヴァル、ジョン・コルトレーンは4年間で33枚(!)レコーディングさせられた。売れないしギャラも安いのでこうなったのだ。おかげでコルトレーンは大手移籍後も大量レコーディングが癖になり、大半が死後発表になった。

何を言いたいかというと、ロリンズは25歳には芸風が確立して、大物だけあって表現の幅が広いから軽やかにもなれば(「サウンド・オブ・ソニー」1957・画像1)重厚にもなり(「ニュークス・タイム」1958・画像2)、お茶目にもなれる(「ホワッツ・ニュー」1962・画像3)ということだ。
一応完成期(プレスティッジ、1951~1956)・絶頂期(ブルー・ノート、リヴァーサイド、コンテンポラリー、1957~1958)・迷走期(RCA、インパルス、1962~1966)、円熟期(マイルストーン、1972~現在)と分けると絶頂期が短く見えるが、57~58年に吹き込んだ8枚はすべて傑作だから仕方ない。ブランクが2回あるのもわかるだろう。
数年前にロリンズは引退宣言したが、相変わらずCDを出し、ツアーをしている。長寿を祈ろう。