(32d)ホレス・シルヴァー(p)



本当に素晴らしいバンドだった。ドラムス、ルイス・ヘイズ(60年以降ロイ・ブルックスまたはジョン・ハリス)。ベース、ジーン・テイラー。そしてトランペット、ブルー・ミッチェル!テナー、ジュニア・クック!
まず曲が素晴らしいのは言うまでもない。「フィンガー・ポッピン」ならタイトル曲、『クッキン・アット・ザ・コンチネンタル』『ジューシー・ルーシー』、「ブローイン・ア・ブルース・アウェイ」のタイトル曲や『シスター・セイディ』、「ホレス・スコープ」の『ニカの夢』、「ザ・トーキョー・ブルース」のタイトル曲。狂熱のライヴ「ドゥーイン・ザ・シング」オープニングの超ファンキー曲『フィルシー・マクナスティ』などただのブルースなのにすごい躍動感!ブルー・ミッチェルのソロが鋭い!ジュニア・クックのソロがボケる!管楽器のソロのバックでもガンガン鳴り響くシルヴァーのピアノ!
というのがこの時期のシルヴァー・クインテットだった。足かけ6年(1959-1964)満5年しか続かなかったのはよくあるメンバーの出世ではないだろう。ジュニア・クックなどシルヴァー・クインテットでの演奏がわざとボケに徹しているかというと、どうもそれが地らしいのだ。
おそらく64年のバンド改編には音楽的・経済的事情があっただろう。シルヴァーの所属するブルー・ノートでも一方で先鋭的な新主流派一派を推進しつつ、リー・モーガン『サイドワインダー』、ハンク・モブレー『リカード・ボサノヴァ』などの8ビート・ジャズ、ジャズ・ボッサを奨励していた。
メンバーのフルタイム雇用も難しくなり、臨時雇用制に切り替わっていたとも考えられる。季節は秋になった。