人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(34a)ハンク・モブレー(ts)

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Hank Mobley(1930-1985,Tenor Sax)。アルトのジャッキー・マクリーンと並んで、これほど愛される50-60年代のサックス奏者はいないだろう。いや、絶大な人気を誇る超人レヴェルのサックス奏者なら何人もいる。ジャズはその人たちによって前進した。それに較べればマクリーンやモブレー、そしてモブレーに先立って紹介したケニー・ドーハムリー・モーガンらのトランペッターたちはジャズ史の傍役にすぎない、とも言える。だが彼ら抜きではジャズはこれほど面白くなっただろうか。身近で、くつろいだものになっただろうか。

デビューはマックス・ローチ・カルテット「フィーチャリング・ハンク・モブレー」1953。ディジィー・ガレスピーのビッグ・バンドを経てジャズ・メッセンジャーズの結成メンバーとなり、「ハンク・モブレー・カルテット」1955.3(画像1)をブルー・ノートでの第一作に発表する。メッセンジャーズの「アット・カフェ・ボヘミア」55.11で再演されるオリジナルの名曲『アヴィラ・アント・テキーラ』はここで初演。

ジャズ・メッセンジャーズへの在籍期間を終えてホレス・シルヴァークインテットに移籍、ジャム・セッション・アルバム、「テナー・コンクレイヴ」56.9(画像2)に参加。テナー4人の共演で、モブレー、ジョン・コルトレーン、アル・コーン、ズート・シムズだから一発で区別がつく。この時点ではモブレーはコルトレーンより優れたテナーマンだと評価されるだけの演奏をしている。ブルー・ノートではホレス・シルヴァークインテットの傍らリー・モーガンの常連サイドマンとなり、リーダー第三作「ハンク・モブレー」57.3(画像3)ではひさしぶりにホレス・シルヴァーアート・ブレイキーが顔をあわせたメッセンジャーズ再会アルバムになった。このアルバムでのオリジナル『ファンク・イン・ア・ディープ・フリーズ』はミュージシャン人気が高く、晩年のチェット・ベイカーも愛奏曲にしていた。

この時期から最高傑作の三部作「ソウル・ステーション」「ロール・コール」「ワークアウト」にいたるまで、モブレーの演奏には迷いがない。自分のやりたいジャズを、自分の最善のセッティングでアルバム制作する。素晴らしいアルバムが次々に録音された。