人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(40e)ジミー・ジュフリー(winds)

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Jimmy Giuffre(1921-2008,soprano,tenor & baritone sax,flute,clarinet)。
前作「フリー・フォール」62の後ジュフリーはドン・フリードマン(ピアノ)、バール・フィリップス(ベース)とトリオを継続していたらしいが、アルバム発表は10年のブランクが開いた。名声を極めた人がなぜかと思うが、「フリー・フォール」の自筆ライナーノートがかなりやばい。アルバム解説が次第に熱狂してきて芸術への讚美に高まり、人生と空虚と宇宙への祈りで終る。「音楽とは女だ」で始まるリー・コニッツ「モーション」61の自筆ライナーもかなりいかれていたが(コニッツも10年間干された)黒人ジャズマンではこういういかれ方をしたのはコルトレーンとアイラーくらいしか思い当たらない。それでもまだコルトレーンらは人種意識の高揚と取れるが、ジュフリーやコニッツは白人インテリの錯乱に見えるのだ。

カムバック作はタイトルからしてうさんくさい。'Music for People,Birds,Butterflies and Mosquito'72(画像1)で、ジュフリーはソプラノやフルートまでこなすマルチ木管楽器(woodwind)奏者になった。メンバーは徳永キヨシ(ベース)、ランディ・ケイ(パーカッション)。これが異様に聴きやすく、キャッチーですらある。
ジム・ホール時代はカントリーとジャズの融合、ブレイ/スワロウ時代は現代音楽とジャズの融合が課題だったが、がらりとジプシー的無国籍エキゾチック・フォーク・ジャズに変わった。'Mosquito Dance'がいい。

75年の'River Chant'(画像2)は同一メンバーだがパーカッションがさらにカラフルで、'Tibetan Sun'から'Om'への流れ、タイトル曲から'The Listening'~'Celebration'、'Tree People'など佳曲が多い。この音楽性ならロックのリスナーにもいける。

80年代にはジミー・ジュフリー4としてピート・レヴィン(シンセサイザー、キーボード)、ボブ・ネスケ(ベース)、ランディ・ケイ(ドラムス)をレギュラーに活動。代表作に'Dragonfly'83(画像3)、'Quasar'85がある。まだまだジュフリーの創作力は衰えを知らなかった。