人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(41e)ジェリー・マリガン(bs,p)

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Gerry Mulligan(1927-1996,baritone sax,piano)。
前回のチェット・ベイカーとの再会アルバム'Reunion'57.12(パシフィック)とは前後するが、ニューヨーク復帰後のマリガンは基本的には大手ヴァーヴ・レーベルの専属になる。
'Getz Meets Mulligan in Hi-Fi'57.10(画像1)は因縁の対決で、チェット時代にマリガン・カルテットに加入したい、というゲッツのインタビュー記事をマリガンが一蹴した過去があるのだ。マリガンから独立したチェットとゲッツは意気投合してピアノレス・カルテットで活動した。だがついにガチで勝負する時がきたのだ。ゲッツはこの月絶好調で、オスカー・ピーターソン・トリオと1枚、マリガンとのこれ、名盤と誉れ高いJ.J.ジョンソンとのライヴをモノラル盤とステレオ盤を別内容で録音している。
白人でマリガンのライヴァルと言えば、人気・実力ともにゲッツなので(アート・ペッパーは生涯ゲッツを認めなかった)このアルバムは力んでいて重い。ルー・レヴィー(ピアノ)のソロでやっと息がつける感じだ。'That Old Feeling'のような小唄ですら重い。

'What is There to Say'58(画像2・コロンビア)はアート・ファーマー(フリューゲルホーン)を迎えたカルテットで、映画「真夏の夜のジャズ」58で聴けるスリリングな'As Catch Can'は本作収録。アルバム・タイトル通りボケッとしたジャケットが可笑しい。ジョン・アードレィには悪いが、マイルスがライヴァル視していたのはケニー・ドーハムとファーマーだった(とマイルス本人が自伝で書いている)。ファーマーとも短期契約だったが、マリガンとの共演でファーマーの知名度は一気に上がり、好条件でいいアルバムを連発するようになる。

'Gerry Mulligan Meets Ben Webster'59(画像3)はジャズ界の最高峰デューク・エリントン楽団のスター・テナーとの共演で、ウェブスター(1909-1973)が好調だから、マリガンは一歩引いて先輩に華を持たせている。冒頭の'Chelsea Bridge'のテナーの一音で痺れる。マルチプレイヤーでビッグバンド・リーダーのベニー・カーター(1907-2003)の参加も大きい。