ジェリー・マリガン・カルテット Gerry Mulligan Quartet - Bernie's Tune (Barnie Miller) (from the album "Gerry Mulligan Quartet Volume 1", Pacific Jazz PLJP-1, 1952) : https://youtu.be/bheZvff6qOc - 2:53
Recorded at Phil Turetsky's House in Los Angeles, California on August 16, 1952
[ Gerry Mulligan Quartet ]
Gerry Mulligan - baritone saxophone
Chet Baker - trumpet
Bob Whitlock - bass
Chico Hamilton - drums
ニューヨークのビ・バップまっただ中で活動を始めマイルス・デイヴィスの『クールの誕生』'49のアレンジと参加で名を上げたバリトンサックス奏者ジェリー・マリガン(1927-1996)がロサンゼルスに渡って前年にチャーリー・パーカーの西海岸ツアーのトランペット奏者を勤めたチェット・ベイカー(1929-1988)とコンビを組み、画期的なピアノレスのカルテット編成でデビューした記念すべき名刺代わりの1曲。これほど鮮やかなデビュー曲はそうあるものではないでしょう。この曲はロサンゼルスのジャズマンの間で好まれていたジャムセッション曲でしたが、誰も会ったことがないワシントンのピアニストのバーニー・ミラー作曲としか伝わっておらず「Barnie's Tune」と呼ばれており、マリガン・カルテットの録音がヒットした後で作者バーニー・ミラーは故人(1919-1945)と判明したそうです。You TubeでBarnie's Tuneとだけ検索すると膨大なカヴァーがアップされていますが、それもマリガン・カルテットによってウェスト・コースト・ジャズ・スタンダードになったからなので、このカルテットのアレンジはほれぼれするほど見事です。また翌年、ロサンゼルスのスタン・ケントン楽団で糊口をしのいでいた『クールの誕生』仲間のアルト奏者リー・コニッツ(1927-)をゲストに5人編成で再録音したヴァージョンもあります。
Lee Konitz & Gerry Mulligan Quartet - Barnie's Tune (from the album "Lee Konitz Plays With The Gerry Mulligan Quartet", PLJP-2, 1953) : https://youtu.be/YQEx91zcycw - 3:34
オリジナル・マリガン・カルテットはギャラの分配でチェットが不満を持ち、またチェットの人気はマリガンと競っていたので1年足らずでチェットはカルテットを抜け自分のバンドやテナー奏者スタン・ゲッツ(1927-1991)との双頭カルテットで活動します。ゲッツもコニッツ同様ニューヨーク出身者でしたがマリガンはゲッツを嫌いました。またロサンゼルスのNo.1アルト奏者アート・ペッパーもゲッツを嫌いましたが、チェットにはコニッツ、ゲッツ、ペッパーの全員と共演作があります。'50年代後半~'60年代のジャズ不況を過ぎ、ストレート・ジャズの復権があった'70年代半ばにマリガンとチェットは22年ぶりにオリジナル・マリガン・カルテットの再現コンサートを行います。エロール・ガーナーからアート・ペッパー、J.J. ジョンソン、ソニー・スティットまでカヴァーはあれど、やはりマリガン=チェットのコンビでこそのこの曲の観が強いでしょう。
Gerry Mulligan / Chet Baker - Bernie's Tune (rec.1974, from the album "Carnegie Hall Concert Volume 2", CTI 6055 S1, 1975) : https://youtu.be/tXpbMa4ESPw - 7:56