人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(47g)ジミー・スミス(org)

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Jimmy Smith(1925-2005,organ)。
「ホーム・クッキン」「クレイジー・ベイビー」の2作でオルガン・トリオによるソウル・ジャズのスタイルを確立したスミスは大傑作と評価が高い、
Midnight Special(4078)60.4.25(画像1)
-を録音する。この作品はブルーノート社初の大ヒット・アルバムになった。ケニー・バレル(ギター)を含むトリオに、これが初レコーディングになるテナーの大型新人スタンリー・タレンタインを起用。ソウル・ジャズは元々テナーサックスのジャンルだったので企画は決った(これまではアルトサックスのルー・ドナルドソンだったのでバップ系ジャズとソウル・ジャズのどっちつかずだった)。バラードは1曲にとどめてスウィング曲2曲、ブルース2曲という構成も成功した。タレンタインはソウル・テナーだが洗練された若々しさがあり、主流ジャズもきっちりマスターした、完成された新人だった。バラード'Why Was I Born?'でもその実力はわかる。

「ミッドナイト・スペシャル」のセッションは好調だったようでアルバム2枚分が一日で録音された。ブルーノートは出し惜しみをして、先に「クレイジー・ベイビー」と同じメンバーのトリオで制作した、
Plays Fats Waller(4100)62.1.23(画像2)
をリリースする。この間に'Open House'(4269)と'Plane Talk'(4296)が制作されたが(共に60年録音)レコード番号の通り発売は先送りになる。
ファッツ・ウォーラー(1904-1943)は歌手・作曲家でスミス以前に「オルガンの神様」といえばこの人だった。スミスは「プレイズ・プリティ~」でもウォーラーの『ジータバッグ・ワルツ』を快演していたが、ウォーラー曲はスミスに合うようで、国民的愛唱歌ともいえる名曲を全7曲たっぷり楽しめる。4100というキリのいいレコード番号もブルーノート社とスミスの自信がうかがえる。円熟した名作のひとつ。

続くアルバム、
Back At The Chichen Shack(4117)60.4.25(画像3)
-は「ミッドナイト・スペシャル」と同日・同メンバー録音で、発売をずらしたのが奏効してこれも大ヒットになった。ブルーノート時代のスミスは頂点をきわめた。