人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(46e)グラント・グリーン(el-g)

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Grant Green(1935-1979,electric guitar)。
前回触れたようにグリーン所属のブルーノートはアルバム一枚発売するためにお蔵入りアルバムを数枚制作してセレクトする、ちゃんとギャラも払う、後年発売されるとボツの理由がわからない見事な出来、という不思議なレコード会社だった。現在CD2枚組にまとめられた'The Complete Quartets With Sonny Clark'(画像1)は80年前後に'Gooden's Corner'61.12.23,'Nigeria'62.1.13,'Oleo'62.1.31としてアルバム3枚分が連続して録音されたもので、次の'Born To Be Blue'62.3(画像2)ともどもすべてピアノはソニー・クラーク、ベースはサム・ジョーンズ。ドラムスはルイス・ヘイズで、「ナイジェリア」のみアート・ブレイキーに替わる。「ボーン・トゥ~」のみアイク・ケベックのテナーが加わり、「コンプリート・カルテッツ」収録の3作はピアノ・トリオ+ギター。このクラークとの連作はすべてボツになった。

だが内容はすこぶる良い。選曲はスタンダード中心だが「グッデン~」は'Moon River',「ナイジェリア」と「オレオ」ではソニー・ロリンズ作のタイトル曲以外にも'The Things We Did Last Summer','My Favorite Things'などの映画主題曲をやっており、「ボーン・トゥー~」も'Someday My Prince Will Come'はじめ良い曲満載で、ホレス・シルヴァー作'Split Kick'の前奏をそのまま使ったオリジナル'Back In Your Own Backyard'などニヤリとする仕掛けもある。62年でこのセンスは微妙に古かったのだろうか。

微妙なセンスといえばブルーノート自体が微妙で、次作'The Latin Bit'62.4(画像3)からの三部作はなんとラテン・ウェスタン・ゴスペルのコテコテ企画で、売れ筋かハズシかわからないがアルバムは上出来になった。「ラテン~」はメンバーも本物のラテン音楽系で固め、'Besame Mucho'や'Tico Tico'を本気で演っている。ジャケットも本人だろう。本人も乗り気でなければこんな良いアルバムはできない。