人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

芸能人もご使用の

筆者が見るテレビ番組は中古映画と児童向けアニメが多いので(精神年齢が低いから成年向けアニメは見ない)地方局が多い。するとお目当ての番組の前後に通販番組が組まれていることがかなりの頻度であり、テレビをつけて待っていると毎日何かしら通販番組も見ることになる。三越テレショップをこんなに毎日見ている中年男はいまい。お徳用切れ子明太子や鯨肉の大和煮、食べきり牛丼レトルト詰め合わせなど決して安くはないのだが、実にお年寄りの嗜好を突くセレクトに感心する。調理不用の食品なのが何よりありがたいだろう。
健康補助食品や補正下着なんかは「芸能人もご使用」の、を売り文句にしているものが多い。芸能人もご使用≒ぼったくり、と取るのが普通と思うが、うがちすぎだろうか。

ここでいきなり刑務所食の話になる。
刑務所によって献立はまるで違うのだが(クワバラくん証言だと小田原拘置所は不味いそうだ。ちなみに留置場は警察署内の施設なので仕出し弁当が出る。おいしいが量が少ない)、横浜拘置所の飯は旨かった。献立も多彩でヴォリュームもあったし、実を言うと精神病院にも三軒入院したが質量ともに拘置所食がいちばん良かった。
レトルトの煮魚や焼き魚がよく出た。味がよく沁み、もちろん温めてあって、骨は全部抜いてあり食べやすかった。食材を受刑者に調理させるより安全で安くつくのだろう。滓が残るような献立にならないようにしてあった。テレショップ食品で連想した。

こういうことを書くと「犯罪者の食費が公費で賄われているなんて」と怒る人もいた(障害年金を受けている人だった)。生活保護医療のことを書くと「公費で治療を受けられていいですね」と暗に嫌味なコメント(しかもその人は現役の介護医療者で、ブログで「障害健保は割にあわない」と発言しているような人だった)をしてくる人もいた。拘置所は被疑者の拘置施設で罪状確定前に監禁されているのだ。受刑者だって処罰のために監視監禁され、労働基準法以下の賃金で労働が課せられている。飯を食わされ生かされているのは未決囚の場合も確定囚の場合も法の運用と執行のためで、望んで囚人になる人などいない。

法なんていうのは誰でも犯罪者にできる仕組みで、生活保護だって自由の制限が代償だ。自分とは無縁と思うような気楽な人に、テレビ通販はうってつけだ。