人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補4h)ビル・エヴァンス(p)

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Bill Evans(1929-1980,piano)。
エヴァンスのヴァーヴ移籍第2作は大反響を呼んだソロ・ピアノ作品で、
Conversatins With Myself(画像1)63.2.6,9&20
-はグラミー賞も受賞して商業的にもエヴァンス初の大ヒット作となり、バド、トリスターノ、モンクに連なるモダン・ジャズ・ピアノの革新的巨匠の地位をエヴァンスにもたらすことになった。ソロ・ピアノではあるが多重録音による三重奏であり、トリスターノの「奇才トリスターノ」55に先例があるものだが、トリスターノは孤立した前衛的実験とされたのに対し、エヴァンスのアルバムは幅広い支持を集めた。資質の差といえばそれまでだが、エヴァンスは一躍、全国区レヴェルのスターとなった。

モンクのようにマネージメントから一方的にライヴ録音を渡して契約満了ということはなく、リヴァーサイドからの最後のアルバムは現地スタッフに委託してロサンゼルスでライヴ録音された。
At Shelly's Manne Hall(画像2)63.5.30-31
-がそれで、残り曲を集めた後年発表の、
Time Rememberd(画像3)63.5.30-31
-ともに、楽曲権の都合上スタンダード曲集になっている。丁寧に選曲され編集された前者に較べて後者はいかにも雑だが、ライヴ感ではそれも魅力がある。ラファロ時代のライヴ2作と比較すれば分が悪いとはいえ、スタジオはスタジオ、ライヴはライヴと割りきった荒々しさがある。

リヴァーサイド社と契約満了したエヴァンスは、その後50歳で急死する数日前まで演奏活動を続け、ヴァーヴ、コロンビア、マイルストーン、ワーナーに多くの傑作を残す。主だった作品に触れるにも、ここまでと同じくらいの回数が必要になるが(倍以上かもしれない)エヴァンスに関してはリヴァーサイド時代でひとつのサイクルが閉じているとも言える。バド、トリスターノ、モンクらと較べてもアルバム枚数が多く、傾向も多岐にわたり、年代順でも傾向別でもすっきりした整理がつかない。64年以降のアルバムでもエヴァンスの作品には必ず聴きどころはあるので、評価しないがためにリヴァーサイド時代で区切るのではない。エヴァンス編の続編はまたの機会に譲る。