人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補5a)ハービー・ニコルス(p)

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Herbie Nicols(1919-1963,piano)。
バド・パウエルセロニアス・モンクレニー・トリスターノを三大バップ・ピアニストとすると、生前はついに真価を認められずに逝去したピアニストにハービー・ニコルス、リチャード・ツワージク、エルモ・ホープがいる。三大ピアニストと同時進行で個性を確立し、その成功を追ってデビューしたが、彼ら三人は三様の事情で楽歴を頓挫した。現在でも彼らの50~60年前のアルバムはCDで流通している。だが彼らのスタイルは三大ピアニストをさらに過激に推し進めたもので、ポピュラリティを持ち得なかった。ビル・エヴァンスのようにはいかなかったのだ。

ニコルスは酒場でニューオリンズ・ジャズを演奏するのが仕事だったが、本心はもっと先進的なジャズを目指していた。初録音に当たるセッションから3曲はオムニバス盤、
I Just Love Jazz Piano(画像1)52.3.6
-に収録され、86年のCD'Thelonious Monk & Herbie Nichols'(画像4)に同日録音の別テイク2曲、シングル曲2曲とともにまとめられている。オリジナル曲'Who's Blues'には個性の萌芽が見られる。

新しいジャズの方法を探していたニコルスは、モンクのレコード・デビュー(47年)に触発される。ジャズ雑誌にモンクを賞賛した批評を投書し、モンクの所属レーベルのブルーノート社に売り込みの手紙を足掛け10年送り続ける。55年にようやく同社はニコルスの録音を企画する。ちょうどモンクがリヴァーサイド社に移籍して注目を集め始めた年だった。ブルーノート社はピアノ・トリオで10インチLPを2枚連続制作する。
The Prophetic Herbie Nichols Vol.1(画像2)55.5.6
-Vol.2(画像3)55.5.13
-がそれで、10インチLPだからどちらも25分前後、全6曲のミニ・アルバムだが密度は高い。メンバーもモンクゆかりの人選で(ドラムスはブレイキー)、2枚で12曲全曲がニコルスのオリジナル。'The Third World','Cro-Magon Night'(Vol.1),'2300 Skidoo','Shuffle Montgomery'(Vol.2)など、異様な雰囲気の曲名ばかりが並ぶ。