人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補6b)リチャード・ツワージク(p)

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Richard(Dick) Twardzik(1931-1955,piano)。
ツワージクにデビューの話が舞い込んだのはチェット・ベイカー・カルテットのラス・フリーマン(ピアノ)からで、ボストン公演中に認められ、パシフィック・ジャズ・レーベルに初リーダー作'Richard Twardzik Trio'54.12を録音。ソロ・ピアノとトリオによるリーダー作のデモ・テープが'1954 Improvisations'として90年代に発掘、
Complete Recordings(画像1)
-は上記の二作を併せたもので、これがツワージクの唯一のリーダー作品。「トリオ」は7曲8テイク・オリジナルは'Albuquerque Social Swim','Yellow Tango','A Crutch For The Crab'の3曲だが、これほど奇怪な曲想はニコルスよりも早い。また、ここで選曲されたスタンダード曲は後にエヴァンスの愛奏曲となり、解釈も酷似している。

ツワージクはフリーマンから後任ピアニストに推薦され、カルテットは55年9月5日にパリに到着し好評のうちにヨーロッパ・ツアーをこなしていく。
翌月10月21日の朝、姿を現さないツワージクをチェットがホテルの部屋に訪ねると、ピアニストは心臓発作で死んでいた。腕にはまだ注射針が刺さっていた。享年24歳。前夜もクラブ出演したばかりだった。ヨーロッパ公演中の演奏は発掘ライヴ2枚、
Chet Baker:The Complete 1955 Holland Concerts(画像2)55.9.17&18
-:In Europe,1955(画像4)55.9.21
-で聴ける。ラジオ放送音源で音質は良好。後者のツワージク参加分は3曲25分なので、2008年に発掘された12曲74分の前者をお薦めする。これはチェットにとっても名演で、ツワージクの貢献によってバップを越えた領域に踏み込んでいる。

カルテットの正式なスタジオ録音は、
Chet Baker:Chet In Paris,Vol.1(画像3)55.10.11&14
-の全9曲で、ツワージクの1曲を除きボブ・ジーフ(不詳)のオリジナル。演奏はいいが曲がよくない。スタンダード中心にオリジナル数曲だったら良かったのになあ、とライヴ盤に軍配をあげる。