人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補8f)セシル・テイラー(p)

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Cecil Taylor(1929-,piano)。
久しぶりの新作、「ユニット・ストラクチャーズ」は人数は「ホットへの突入」と同じだが、アラン・シルヴァとヘンリー・グライムズのベース二人によるポリリズム効果が大きく、「カフェ・モンマルトル」で確立したユニットの音楽性で面目を一新した。ブルーノート社制作という点でも注目され、メイキング取材記事が音楽誌に掲載された。テイラーは著名エンジニアのヴァン・ゲルダーに対して挑発的で、録音拒否の態度にすら出てブルーノート社長が仲裁に入りテイラーの主導を認める、という駆け引きもあったらしい。テイラーは厄介な戦闘的黒人ジャズマンだった。

「ユニット~」は大反響を呼び、ブルーノート社は契約の2作目を制作する。
Conquistador!(画像1)66.10.6
-は2管・2ベースのセクステットで前作よりもさらに密度が高く、収録曲もA面に18分のタイトル曲、B面に'With(Exit)'19分と各面1曲ずつの大作。前作ではライオンズ以外の管楽器に脱落者が出たが、今回のビル・ディクソン(トランペット)はアーチー・シェップの盟友だけあり申し分ない演奏。ブルーノート初登場で前作の方が知名度が高いが、出来はこちらの方が上だろう。

同年の秋のパリ公演の模様はLP2枚組の、
The Great Paris Concert(画像2)66.11.23
-で聴ける。メンバーはライオンズ、シルヴァ、シリルとのカルテット。このライヴ盤も強力で、シルヴァはほぼアルコ(弓弾き)で通している。代表曲はAB面を占める'Student Studies'と、D面を占める'Niggle Feuigle'だろう。テイラーの場合曲とはメロディではなく、後者は「シドレド」前者は「ドッドッドッド」という動機(モチーフ)からリズム・和声・楽節を変奏していく。クラシックの正統的手法だが、リズムを最上位に置くことでジャズの意地を貫いているのがテイラーだろう。

テイラー初の客演は、
The Jazz Composer's Orchestra(画像3)68.6.20.21
-で、同名のフリー・ジャズ団体への特別ゲストだった。2枚組LPでC面とD面を占める34分の'Comunicatins#11'で20人編成のビッグバンドと対決し、ピアノ一台でねじ伏せている。