人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

生保受給者の社会復帰について

ぼくの文章はいつもまわりくどいが、今回はずばり核心から書く。生活保護受給者の社会復帰はほとんど不可能に近い。しかも単身世帯よりも夫婦、さらに子供のいる世帯ではなおさら厳しくなる。
再就職のためにもさまざまな出費がかかるが、生活保護世帯では衣食住ですら厳しく、消耗品などの臨時出費すらままならない。福祉課からは再就職をしきりに催促されるが、生活扶助の支給額ではとても再就職のための活動資金など捻出できないのだ。

生保受給者はさまざまな原因をかかえて福祉にたどり着く。働けなくなり療養中の人もいれば、働きたくても働き口のない人もいる。聖書のパウロ書簡には有名な「働かざる者食うべからず」という言葉がひとり歩きしているが、あれは田舎の農村に布教しに行った弟子たちがお布施で暮らしているのを戒めた言葉で、事情があって生活保護を受給している人たちに向けた言葉ではない。

本来はデフレによる最低賃金の水準の引き上げと雇用促進の問題から解決すべきなのだ。交通費すら支給せず、雇用保険の発生しない8万円以下の賃金を雇用条件にしている雇用者も現在では多い。これでは掛け持ちしなくては生活できない(ぼくが大学生だった30年前は時給は800円~900円が相場だった)。

そんな具合で低所得者層には生活保護制度に対する不満と受給者への侮蔑的感情が年々高まっている、という背景がある。これは行政側には格好の口実で、民意を味方につけているから福祉切り捨ては賛同される。賛同するのは、もちろん自分なら将来生活保護のお世話になることはない、と楽観している-そして生保受給者を最下層と見なしている人たちだ。
この人たちは福祉制度自体に不満を持っている。そして経済状況で人間をランクづけする。自分がそうなる可能性を想像できない人たちなのだ。
生活扶助受給で生きてみればいい。しかも8月支給分から10%下がるのだ。10%減った月収で暮らしてみればいい。

ぼくへの支給額は月額7万円弱だが、娘たちへの積立て金、雑費、食費と公共料金でほとんど残らない。さらに10%の減額になると食費は圧縮、雑費もさらに苦しくなる。主治医やアベさんには感心されているが実際はぎりぎりなのだ。

生活保護受給者の再就職の困難は主に中高年であること、職歴にブランクがあることも大きい。この問題は明日も取り上げてみたい。