人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補13h)ジョー・ヘンダーソン(ts)

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Joe Henderson(1937-2001,tenor sax)。
67年にはヘンダーソンブルーノート社専属ではなくなっていたらしい。有終の美を飾るアルバムと言えるのが、
McCoy Tyner:The Real McCoy(画像1)67.4.21
-で、マッコイは前年にコルトレーン・カルテットをエルヴィン・ジョーンズと共に辞したばかりだった。マッコイは37年生まれだからまだ20代の終りだった。カルテット在籍中に出した数枚のリーダー作は趣味の良いものだったが、やはりカリスマ的な神通力のあるリーダーがいないと普通に優秀なジャズマン止まりなんだな、と思わせる弱さがあった。
だが「リアル・マッコイ」は違う。ロン・カーターのベース、エルヴィンのドラムスを得て、コルトレーン時代にはコルトレーン以外のメンバーのオリジナルは採用されなかったが全5曲がコルトレーン・カルテットでも通用したレヴェルのオリジナル。そして新世代の正統派テナーというワンホーン・カルテットでコルトレーン・カルテットに匹敵する作品を作った。全員が多忙なフリーランス(ロン・カーターはマイルスのメンバー)だったため同じメンバーで第2、第3のアルバムは作られなかったが、この作品は参加メンバー全員にとって代表作と呼ぶにふさわしい。

ヘンダーソンはリヴァーサイド社の後身であるマイルストーン社と契約し、
Tetragon(画像2)Late 67
-を発表する。メンバー編成から見てケニー・バロン(ピアノ)&ルイス・ヘイズ(ドラムス)、ドン・フリードマン(ピアノ)&ジャック・デジョネット(ドラムス)の二組に分かれて録音されたようだ(ベースはどちらもロン・カーター)。
ブルーノート時代のような「新主流派」的縛りがないためか、メンバーも身内ばかりでないためか、スタンダードも挟んでのびのびと演奏している。フリードマンのようなビル・エヴァンス系白人ピアニストとの共演はブルーノート社では叶わなかっただろう。

そこで最後の汚点、
Herbie Hancock:The Prisoner(画像3)69.4.18,21,23
-が来る。ブルーノートに7枚あるハンコックの、9人編成による最後のアルバムで、半端な社会的メッセージと大仰な音楽のため失敗作に終った。音楽ではよくある例ではある。