人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補16f)オーネット・コールマン

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Ornette Coleman(1930-,alto sax,trumpet,violin)。
アトランティック社との契約を終えたオーネットにはほとんどレコード印税が支払われなかった。
「彼らは商人、私が商品なら、儲けるのは私じゃないわけさ」と後にオーネットは語っている。今日でも新人のデビューはほとんどそうだが、アルバム製作費、広告費はCD印税と相殺されてしまうため、下手をするとレコード会社への借金ばかりが膨れあがってしまうのだ。ブルーノートが良心的なインディーズと目されたのは、製作費が会社負担だったこともある。

デビュー以来の相棒だったドン・チェリーとも別れたオーネットは、雑役夫などのアルバイトをしながら管弦楽の作曲、トランペットとヴァイオリンを独学で習得する。新メンバーは管弦楽団所属のデヴィッド・アイゼンソン、無名のチャールズ・オフェットがベースとドラムスに決まった。
Town Hall 1962(画像1)62.12.21
-はこの時期唯一のアルバムで、当初ブルーノート社から発売される予定でトリオ7曲、弦楽四重奏1曲、ソロ・ベース1曲のテスト盤が作られた。だがなんらかの事情で新興レーベルのESPからブルーノート盤未収録1曲を含むトリオ3曲・弦楽四重奏1曲に改編されて発売された。オーネット未許可だそうだが、今日に到るまで版を重ねている。

トリオの本格的な活動は65年で、まずインディーズ映画「チャパカ」のサントラを依頼される。内容はビートニクの監督自身の自伝的ロードムーヴィだったが、オーネットの音楽は却下されラヴィ・シャンカールの音楽が使われた。だがオーネット作品は音楽作品として発売された。
Chappaqua Suite(「チャパカ組曲」画像2)65.6.15-17
-がそれで、LP2枚組全1曲というか、ABCD面がパート1~パート4に分かれる。どの面もテーマはなく、無調の室内管弦楽が所々でトリオに絡む。パート4はファラオ・サンダース(テナー)が少しだけ出てくる。80分の大作だが飽きがこない。

そしてトリオは、
An Evening With Ornette Coleman(「クロイドン・コンサート」画像3)65.8.29
-で始まる65年後半ツアーでヨーロッパを席巻する。次回はそこから始めよう。