人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(49a)アート・ファーマー(tp,fh)

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Art Farmer(trumpet,cornet,fluegelhorn,1928-1999)。
(47)でジミー・スミス、(48)でレッド・ガーランドを取り上げてからは、補足編として一度紹介した巨匠の全作品解説、モダン・ジャズの巨人とまでは言えないが落とすにはしのびないプレイヤーの紹介をしてきたのが前回の(補16)オーネット・コールマン編までだった。

だが補足扱いではなく、正真正銘モダン・ジャズの巨人と言える人がまだ残っている。ルー・ドナルドソンは決定だが、まずアート・ファーマーから取り上げたい。マイルスが同世代トランペット奏者で尊敬し、ライヴァル視していたのは、ケニー・ドーハムとファーマーだった。そのくらい実力も評価・人気も高く、マイルスやクリフォード・ブラウンのような別格的存在を除くと現在でもドーハムとファーマーはトランペット奏者の目標になっているといえる。

無骨な抒情性に特色があるドーハムに較べて、ファーマーは暖かみのある簡潔さに秀でていた。60年代以降はトランペットと構造は同じだがより柔らかな音色のコルネットやフリューゲルホーンを愛用したのもドーハムとは対照的な個性だった(マイルスはドーハムとファーマーを併せたよりもさらに表現力の広い怪物的プレイヤーだった)。

現在ではピンとこないが、当時のジャズマンは定職はビッグ・バンド勤務で、
Art Farmer Septet(画像1)53.7.2&54.6.7
-はバンド仲間クインシー・ジョーンズが作・編曲している。クインシーにとっても初期の傑作だろう。'Mau Mau'はなんと!コルトレーンの「至上の愛」64と同じリフのモード曲になっている。

When Farmer Met Gryce(画像2)54.5.19&55.5.26
-もバンド仲間のジジ・グライスの作・編曲で、54年録音はホレス・シルヴァーがピアノ、フレディ・レッドが55年分を弾いている。シルヴァーとレッドのその後を思うと感慨深い。

2 Trumpets(画像3)56.8.3
-はドナルド・バード(トランペット)とジャッキー・マクリーン(アルトサックス)との共演作。いつもは一本調子なバードも共演者に刺激されたか、熱くてスリリングな好作になっている。