人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記64

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・3月24日(水)雨
(前回から続く)
「さてそのお花見の日程は3月26日(金)つまりあさっての10時~14時、八王子市の長池公園。バス組で10分・健脚組は約5kmを早足で約1時間ウォーキングが目安。花見の帰棟後は第二病棟デイルームで反省会(全病棟患者が収まるのだろうか?会場の喧騒は尾を引くから、第二病棟はメンタル面では安静状態のアル中病棟なので、引き算的な理由で選ばれたのだろう)。遠足があるとは聞いていたが前々日に日程発表はないだろう。だがこの病院ではそれが珍しくもなんともないのだ」

「皆さんから他になにかありませんか?では今日のお題は、最近思っていること(癖のある人だ、この婦長は)。テーブルの順に全員が最低ひと言話すことになる。Ynさん・そろそろ退院だがやや不安。Atさん・なし(とひと言。言語障害なので全員黙認)。Msさん・第二に来たばかりでまだよくわからない。Mさん・体調。Smくん・情緒不安定。Kiさん・ぼそぼそ。Mtさん・Msさんと同じ。佐伯・ようやく第二に慣れてきた。Kくん虫歯(笑いを取る)。Kyさん・障害(難聴)で再就職が不安。Nk画伯・ありません。Kgさんはあれこれとりとめのない長話でKdさんがKくんにイーッ(うんざりよね)と表情を送る。Tkさん・子供の学校行事がゴールデンウィークに集中するので早く退院したい。Uzさん・体力をつけたい。Yzさん・マイペース。Imくん・病気が早く治るようにがんばりたい。最後のKdさんは最近自分でも訳わかんないのよ、何したいのか、何やってんだか、どうしたらいいか(小声でKくんが、よく自己分析してんじゃん)(注1-注3)」

「ここで婦長がまとめる。不安な人はそれが当然、自信ある人は返って危ない。精子の数は1回2億、皆さんは勝ち抜いて生れてきたんですよ(注4)。では解散」

(注1)こうして清書すると誰もが切実な事情から入院してきたことが胸に迫る。このうち故人が少なくとも3人いる。順に、Yzさん、Atさん、Ynさん。またアルコール依存症の人は全員スリップ(再発)、精神疾患患者の人も再入院した。
(注2)Fさんもいたはずなのに抜けている。不思議だ。
(注3)「われわれはどこから来たのか?われわれとは何者か?われわれはどこへ行くのか?」ポール・ゴーギャン(1897年作品・画像)
(注4)はいはい。