人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記71

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・3月25日(木)雨
(前回から続く)
「グループ・ミーティングの内容は口外厳禁が建前だが、秘匿したいことは秘匿してもいいのでそれなりに公開性はあるわけだ。車椅子のKwさんの入院経緯は壮絶だった。二年前は歩いて入院しましたが、今回は泥酔して焚き火に飛び込んで全身火傷で入院しました。まだ要介助の車椅子生活なので24時間看護態勢の第三病棟からの院内通院学習なのだろう。焚き火に飛び込みたくなる泥酔、というのが世の中にはあると初めて知った(注1)。なんで今どき焚き火、という疑問は居住地から判明した。横浜市寿町、いわゆるドヤだ」

「Skさんも朝の会の自己紹介が長かったが、グループ・ミーティングとはテーマに沿って自分の飲酒歴を同席者の参考のために披露する、という相互学習会なので(ルールは三つ、口外しない・批判しない・パス権あり。だから、では佐伯さんと振られてもパス。ずっとパスしていた。どのテーマも一度も体験したことなかったからだ)、ほとんどこの人とSkさんの独演会になる。各種アルコール依存症用語を連発し、さながら飲酒問題の総本山の体(17年前の入院は、等々あちこちの病院を転々としてきたのを暗示した口振り)で、専門家並みの知識を自負して、見るからに看護婦や医師までもなめきっている。Skさんに漠然と感じていた不快感が、同タイプのKwさんと揃い踏みしてやっと正体が見えた。先月26日に入院してきてやっと昨日アルコール科病棟に移室してきたのだから(第三にいた時見かけなかったのは、たぶんまだ隔離室にいたのだろうと思われる)相当な重篤入院だったろう。職業的犯罪者と同様、入退院含み
のサイクルを生きている、一種の確信犯。当然他の患者のことも馬鹿にしているに違いない(注2)」(続く)

(注1)この人は性格も悪く卑しく、すぐに病棟の嫌われ者になりながらニヤニヤしていたが、別の嫌われ患者と金銭問題を起して暴力沙汰に発展し病棟中を大混乱に陥れる。当然誰も同情しなかった。
(注2)HAが以前同期入院した時はSk(以下「さん」を略す)は暴力患者として病棟中の恐怖の的だったそうで、「佐伯が私をつけまわす」という妄想はどこへやら「あの人危ないよ!どうしよう?なんとかしてもらわなきゃ」と相談にきた。この頃にはFさん退院後の患者会代表になることが病棟全体の推挙で決っていたからだ。