人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記84

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・3月26日(金)曇り、にわか雨、にわか晴れ、曇り
(前回から続く)
「Smくんはギャンブルはやらないギャンブル好き、みたいなところがあって、つまりゲーム性の高いものに惹かれる嗜好があるのだろう。つまり馬券を買わない競馬好き、麻雀をやらない麻雀マンガ好きだったりするわけで、プログラマーという職業にも関係があるのかと思われる。なにしろ、2010年になってもウィンドウズ98でこなせないことはありませんよ、と豪語しているくらいだ。彼の場合はソフトを最新にするよりソフト据え置きのままでどこまでできるかが勝負なのだろう。あれは鬱だけじゃないよな、とKくんと話しているのは彼のそういう側面ゆえで、何かが彼を一時的にファナティックにしている様子がたびたび見受けられるのだ」

「やっぱり一穴狙いでしょう。でもどの穴が大きいか確かめないとね。跳ね上げる高さが高いほど落ちますよ。そうだ、こうすりゃいいんだ、と四つの穴にゲーム開始前から一振りで落ちる加減でお手玉を差し込んでおく。限りなくズルに近いズルだが元々お手玉をどう乗せておく規定はないのでなにもおとがめは食らわない。それに、四つ落してもまだ六つも落さなければならない」

「結果、非常に大きな獲点差でYnさんとKrさんたちのチームが一等賞を獲り、賞品お披露目。ソックスだった。なかなか無難でいい。特に羨む人ももらえて喜ぶ景品でもないからだ。もう一回敗者復活戦が予定されていたのだが時間が押して健脚組先行で出発、バス組は移動は楽した分机や椅子のかたづけを手伝い、帰りのバスでは片道でバテたYzさんや人工衛星のH少年(バスは二便あって、確か妄想患者のTは二便で来たし、H少年は一対一介助が必要だから行きも二便バスだったのだろうが、なにが彼をそんなに疲れさせたのか瀕死状態にぐったりしていたので、緊急判断されたのだろう、補助寝台を出して搬送されていた)と乗り合わせて帰ってくる」

「第二・第三と混じると、明らかに第三は(一般精神科患者にせよ、アルコール科待機患者にせよ)慢性化に向っているか、慢性状態からの回復途中のどちらかにあるのがわかる。帰りのバスは左にKくん、右にSkさんという最悪の席になったがKくんはぐっすり眠って、Skさんはひたすら通り道に見える風物の寸評を話し続けてこちらは一方的に聞き役にされる、という目にあう」(続く)