・3月30日(火)曇りのち晴れ
「病棟に戻るとKくんが、コンビニに行ったSmちゃんが遅いんだよ、ついでにふりかけ買ってきてって頼んだのに。そんなことを言われても返答しようがない。夕食時間が迫っていて偏食の激しい彼にはふりかけは死活問題だとしても、Smくんだって道草していても夕食までには戻るだろう」
「アルコール科の患者が体育館でプログラムに参加していた時、KくんやSmくんも、それから後で喫煙室で小耳に挟んだがKwも―Kwはアル中入院常習者だが今回は不眠と疲労で一般精神科患者として入ってきたらしい。生保の医療扶助入院だから病院を三食昼寝・風呂つき宿泊無料ホテルとして使っているのだ。アルコール科ではなく一般精神科だからアルコール学習プログラムやアルコール科OTには参加しなくてもよし、お照さんのように一般精神科だが参加してもよし、ということになっている」
「部屋に戻って朝からの日記をせっせとつづっていると(小分けして書かないと書き落としが生じる)Kくんが、佐伯くんも風呂入んないか、Smちゃんも入るってさ(帰ってきたのだ)。これから入ると点呼があるから長風呂できないし、こないだなんか風呂場に来て便通の回数訊かれたぞ。なら入る前にナースステーションに言っときゃいいんだよ。うーん、おれは点呼の後にするよ。喫煙室で一服しているとKくんとSmくんが洗面器を持ってナースステーションでやりとりしている姿が見えた。浴室に行くには喫煙室の前を通る。OKともVサインともとれるKくんのニヤニヤ顔と目が合い、Smくんも彼の後から入って行った」
「煙草を喫いきる前にMさんが入って行くのも喫煙室から見えた。KくんがMさんの代わりの報告も済ませたのだろう。それで点呼待ちしなくて済むなら前言撤回だ。ナースステーションに点呼の前に風呂入ります、大1回です。Fさんに苦笑される。湯上がりはMさんが足の怪我(飲酒運転で車が大破した時骨折は免れたがふくらはぎから下が押し潰されたという。今でも腫れていて靴が履けない)もあり手短かで、Smくんも佐伯さんお先に(彼の方が入ったのも早いが)、Kくんは入念に髭を剃るので彼とはまた同時になる」
「夕食までまだ時間があり『天』の続きも読みたいが日記の続きを書く。相変わらず喫煙室でKwは床に座り込み、Kuはコーヒー牛乳を飲んでいる」(続く)