人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記86

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・3月26日(金)曇り、にわか雨、にわか晴れ、曇り
(前回から続く)
「つまりUzさんはKくんがナースステーションでたびたび食べ残しを注意されているので、佐伯くん食べてよ、と完食のアリバイ工作をしているとは解らなかったわけだ。だったらこれあげる、とPC70常食のUzさんは鶏肉と高野豆腐の煮付けをKくんに提供(Uzさんは偏食はないが極端に少食)、Kくんは喜んで食べていた。肉じゃん!ところできみ、酢の物嫌いなんだろ?ちらし寿司は平気なのかい?大好きだよ、寿司は。都合のいい偏食というか、偏食の多い人間に一貫性などなくて当然なのだろう」

「そういえば同じテーブルのTkさん姿が見えないけどどうしたんですか、という話になり、今朝から高熱を出して他の病院で処置を受け(この病院は単科の精神病院なので、簡単な応急処置しかできない。Kくんの虫歯にしても抗生剤と鎮痛剤の処方があっただけで厳密には歯科治療ではない)一旦自宅に帰っている、とUzさんから聞く。女性患者の事情は女性患者しか知らないことも多い。同室の女性から話が伝わるのは女性患者の範囲なのが普通だからだ。高熱の理由はわからないが、土日は学習プログラムもないから月曜までは自宅静養で、つまり今日はお花見には出ていなかったということだ。ぜんぜん気がつかなかった(注)」

「Kくんはフジテレビの番組『ペケポン』をどうしても観たいので、戻さなければいけないリモコンを自分のテーブルに持ってきて先の番組からチャンネルを合せ、よし、これでいいぞ。ついでに電池も抜いちゃおうかな、とこちらを向くが同意する義理はないので夕刊に没頭するふりをして無視する。実際金嬉老死去の報は感慨深かった。当時3歳の幼児にすら記憶にあるくらいだ。10年ほど前にも事件を起こしていたはずだ(韓国へ送還されていた)。つい数か月前にも静岡にある母親の墓参りのため入国を訴えていると報じられていたが、死期を悟っていたのだろうか」(続く)

(注)Tkさんの高熱は朝の会で服用する抗酒剤のアレルギーによるもので、これが初めてではなく別種の抗酒剤でも麻疹状の症状が出て隔離室に入れられていた。二種類ある抗酒剤のどちらも彼女にはアレルゲンだったので、稀な体質だろう。退院後に彼女とは不倫関係に陥るがこの頃はあいさつを交わす程度で、何の関心もなかったことがわかる。