人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記107

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・3月30日(火)曇りのち晴れ
「一応学習プログラムとはいえ任意参加なので院内ミーティングには他には誰も出ない。だが自分ひとりだけでも参加しているのは暇と好奇心以外ないし、入院中に学べることは学んでおきたくもあり、出席届けを出して少しでも学習意欲、すなわちアルコール依存症克服意欲を示しておきたいからでもある。だが以前Yzさんが言っていた通り出ても出なくてもいいような、何の役にも立たない無駄話の会なのも事実で、基本的にこれは通院患者のための懇談会なのだが、最近釣りに行っただの今年のメジャーリーグはだの、通院患者たちも出席簿に名前を残すことだけを目的に参加しているようにも見える」

「Fさんは自分が面倒見がいいから同類(失礼だが)と思っているのか、Mtさんを同伴するよう当り前のように頼まれたが、ならば本人が院内ミーティングに連れて行けばいいのに、とは言い返せない。参加するもしないも自由だし、そうなると参加する人間が同伴を拒む理由はない。ただし明らかに佐伯くんが出るようだから連れていってもらうといいよ、というやりとりが事前にあったに違いなく、なんだか弱みにつけこまれたような気がする」

「今日の参加者はいつもよりさらに少なく、Mtさんと看護婦を含めなければ5人だけ、というちんまりした会だった(実際、男性患者のうち二人とMtさんは意見なしであっという間に一巡してしまった)が、今日はようやく実のある話を聞けた。テーマを決めるのに時間がかかり、結局『困ったこと』を酒歴、断酒と絡めて話していく。テーマを提案した男性患者は過去二回入院・現在断酒中だが思いつく限りの嘘とごまかし、その場しのぎとつじつまあわせで取りつくろいつつ、二年半の間隔を置いて二度目の入院をしたのだが、その間欠かさず飲み続けていたそうだ」

「多い時には一日二升、最後には瓶や缶の開栓はおろか、紙パックのプルタブを開ける力もないほど泥酔して、ブリックパックからストローで一気飲み。家族にも医師にもバレないように(通院する日も飲んでから行きましたけどね…)外で買って飲み、家族には病院のレシートを見せる。よくまあ二年半も血液検査もかわし、医師や家族、職場を騙し通して朝から晩まで飲み続けられたものだ。もう一人の男性患者も同じように朝酒、昼酒、宵酒、晩酒をごまかす困難を述べる」(続く)